「オレは走り終わった後、死ぬ気だから」青学大“遅れてきた大エース”鶴川正也の執念…箱根駅伝は「5区でも6区でも良い」原晋監督も「今日はダブルA評価」
何が勝負を分けたのか。 鶴川正也(青学大・4年)の答えは単純にして明快だった。 「気持ちですね。最後は気持ちで勝ちました」 【写真で比較】「えっ、いまと全然違う…」4年前、高校生時代の“坊主頭”の鶴川正也と、いまも変わらぬ「モデル顔負け」超小顔なスタイル…日本選手権&全日本大学駅伝でのデッドヒートも見る 今回の全日本大学駅伝は、2区で大きく展開が動いた。 レースを動かしたのは、創価大の吉田響(4年)と鶴川である。だんご状態の3位で襷を受け取った吉田が3km8分16秒のハイペースで飛ばすと、1秒差で追う青学大の鶴川がただ一人その背中につき、見る見るうちに2人は後続との差を広げてみせた。 手に汗握るスパート合戦を制し、1秒差で区間賞(区間記録まではあと3秒)を獲得したのが鶴川だった。 「ラスト1kmを切って、何回かスパートして、それでもついてくるのでけっこうびっくりして(笑)。でも久しぶりの痺れるレースだったので、ワクワクして楽しかったです」
出雲に続き連続区間賞…「遅れてきたエース」の開花
これで、出雲駅伝に続き、全日本大学駅伝でも区間賞を獲得。ロードでも強いことを改めて証明してみせた。 高校時代から都大路1区区間賞など、世代トップクラスの活躍を見せてきたが、ついに本来の力を取り戻したと言えるだろう。 振り返ると、大学に入ってからの3年間は苦難の連続だった。 1年目は疲労骨折の影響で駅伝シーズンを棒に振り、2年目もやはりケガの影響で三大駅伝には出られなかった。昨年の出雲駅伝でようやく大学駅伝デビューを果たしたが、6区区間7位と苦しむ。己の不甲斐なさが赦せず、鶴川は翌日からの練習でさらに自分を追い込んだ。その結果また足を疲労骨折し、その後は走れないままシーズンを終えた。 当時の心境について、この春、鶴川はときおり声を詰まらせながらこう話していた。 「もう辞めようかなって、本気で思って。でも、そのつど両親やチームメイトが助けてくれて……。本当にこの3年間、僕はたくさんの言葉をかけてもらったので、今度は自分がみんなを助けられる存在になりたいです」 最終学年となった今季は春先から好調をキープ。5月の関東インカレ5000mでは留学生相手に勝ちきり、6月の日本選手権5000mでは実業団選手に混じって4位という好成績を収めた。 そして、迎えた駅伝シーズンの緒戦である出雲駅伝でついに1区区間賞を獲得。だが、原晋監督からは「もっと突き放してほしかった」と辛口の注文が付いた。 鶴川は今回、その言葉を胸に抱き、レースに挑んだという。 「出雲は区間賞を取りたい気持ちが強すぎて、駅伝というものがわかっていなかったです。やっぱりエースとして期待されたのであれば、秒差ではなくてもっと後ろとの差を離さなければならない。みんなのために、チームのために、今回は(ライバルである)國學院と駒澤との差をもっと広げようと。そこを意識して走れたのは、出雲から成長したところかなと思っています」
【関連記事】
- 【写真で比較】「えっ、いまと全然違う…」4年前、高校生時代の“坊主頭”の鶴川正也と、いまも変わらぬ「モデル顔負け」超小顔なスタイル…日本選手権&全日本大学駅伝でのデッドヒートも見る
- 【出雲駅伝】青学大・原晋監督が不満げに言った「まだ4年生が甘い気がするなあ…」“まさかの3位”青学大の誤算…箱根駅伝まで3カ月「今日は30点かな」
- 【あわせて読む】「スピード練習? 全くやってないです。ウチは駅伝なんで」青学大“遅れてきたエース”の出雲区間賞で感じたそれでも“箱根駅伝の本命は青学”のワケ
- 【こちらも読む】あの「黄金世代」から5年…東海大まさかの落選 「留学生級」スーパーエース抜きの東農大は1秒差で涙…箱根駅伝“大波乱の予選会”はなぜ起きた?
- 【二冠達成】國學院大「101回目のプロポーズ」って何のこと?…出雲で見えた箱根駅伝“総合優勝”の現実味「“3番以内”に逃げない」「メンバー争いの方が怖い」