ユニスワップ財団の投票延期に見る、DeFiステークホルダーの足並みの乱れ
ユニスワップ財団(Uniswap Foundation)は5月31日、UNIガバナンストークンの保有者により良い報酬を与えるために、プロトコルのガバナンス構造と手数料メカニズムをアップグレードするかどうかに関する重要な投票を延期すると発表した。非営利団体である同財団は、イーサリアムベースの最大のDEX(分散型取引所)を支える組織の投資家と思われるステークホルダー(利害関係者)からの懸念を理由にあげた。
再度の延期
「先週、あるステークホルダーからこの作業に関する新たな問題が提起され、それを我々が完全に検討するには、さらなる精査が必要となる。我々が提案したアップグレードは不可逆的で繊細なものであるため、我々はこの投票を延期するという難しい決断を下した」と財団はXに投稿した。 財団は決定は「予期せぬもの」だとし、事態を謝罪した。だがこれは、プロトコルの取引手数料の一部をトークン保有者に振り分ける「手数料切り替え」を行うかどうかの投票が延期された初めての事例ではない。 また、トークン保有者の利益がユニスワップ(Uniswap)の他のステークホルダーの利益と対立しているように思われる事態が発生したのも、今回が初めてではない。 「重大な変更があれば、コミュニティにお知らせし、将来の予定について確信が持てた時点で皆さんに報告する」と財団は付け加えた。 2020年の「DeFiの夏」の余波の中で、ガバナンストークンSUSHIを発行し、すぐに流動性を集め始めたスシスワップ(Sushiswap)による「ヴァンパイア・アタック(ユーザーにより良いインセンティブを与えることで、新規プロジェクトが既存プロジェクトからユーザーを奪うこと)を食い止めるために、ユニスワップはUNIトークンを発行した。 スシスワップはDAOによって管理され、トークン保有者に取引手数料を割り当てていたことから、比較的コミュニティとの協調性が高いと見られていた。 ユニスワップのバージョン2には、流動性プロバイダー(ユニスワップで取引されるトークンを提供する人)に支払われる取引手数料の0.3%を分割し、0.25%を流動性プロバイダーに、残りの0.05%をUNIトークン保有者に支払うことを可能にするコードが含まれていた。しかし、「手数料切り替え」は実行されなかった。