ユニスワップ財団の投票延期に見る、DeFiステークホルダーの足並みの乱れ
提案がもたらす懸念
バージョン3のローンチに伴い、手数料切り替えの実行について再び話が持ち上がった。ユニスワップのフロントエンド・インターフェースであるOkuを手がけるGFXラボ(GFX Labs)は、ユニスワップV2のいくつかのプールでプロトコルの手数料分配をテストする計画を提案し、多くの注目を集めた。 しかし、流動性プロバイダーや流動性をユニスワップから遠ざけてしまうかもしれないという懸念や、法的な懸念もあり、最終的に話は頓挫した。 当時の主な懸念の1つは、手数料スイッチが実質的にトークン保有者に収益ベースの配当の一種を支払うことになることから、UniDAOに税法や証券法に関する影響を及ぼす可能性があるということだった。 ユニスワップ財団が投票を再度延期することを決定した際、どのような懸念に対応したのかは正確にはわからない。著名な暗号資産(仮想通貨)関連の法律専門家であるガブリエル・シャピロ(Gabriel Shapiro)氏は、これはDeFiプロトコルがトークン保有者を「二級市民」として扱い、その欲求をより少数のステークホルダー・グループに従属させた新たな事例だと書いている。 昨年末、ユニスワップ・ラボ(Uniswap Labs)がフロントエンドのウェブサイトとウォレットに0.15%の取引手数料を課し、開発グループが直接収益化を始めて図った際にも同様の議論が起きた。この手数料はユニスワップ・ラボが管理するプロダクトにのみ適用され、取引所プロトコル自体には適用されなかったが、1億6500万ドル(約257億円、1ドル156円換算)を集めた後に行われた。 完全に斜に構え、UNIトークン保有者に報酬を与えるための手数料の切り替えが決して実行されないと考える理由はない。 ユニスワップ・ラボとUNIトークン保有者は、それぞれ独自の利益を持つ別個の存在だ。理想的には、両者ともプロトコルにとって最善のことを行うという点で足並みが揃うだろう。 しかし、DeFi全体で学ぶべき教訓があるとすれば、それはトークン保有者が常に最終的な決定権を持つわけではないということだ。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Yemets/Shutterstock|原文:Uniswap Vote Delay Shows DeFi Stakeholders Aren't All in It Together
CoinDesk Japan 編集部