大阪「通天閣」9日から臨時休業 夜間ライトアップや菓子半額販売は継続
高井社長「大阪で最後まで営業していた観光施設としてやり切りました」
大阪「通天閣」9日から臨時休業 夜間ライトアップや菓子半額販売は継続
大阪市浪速区の「通天閣」は8日夜、9日から展望台を当面の間、臨時休業すると発表した。新型コロナウイルスの拡大に伴い、大阪府内の観光施設で休業が相次ぐ中、通天閣は地元の「開けてほしい」という声を受けて感染拡大防止策を講じた上で営業を続け、土産物のお菓子の返品に苦労する取引先の悲鳴を聞いて、各地で返品された菓子を半額で販売するなどしてきたが、緊急事態宣言を受け臨時休業を決めた。半額菓子の販売やライトアップは続けるとしている。通天閣観光の高井隆光社長(45)は「大阪で最後まで営業していた観光施設としてやり切りました。これからは全国の方とコロナウイルスの猛威に耐え忍んで、みんなでその後にすてきな朝、笑顔のある大阪を迎えたい」と涙ながらに話した。 【映像】大阪「通天閣」が臨時休業しない理由 地元住民らの思い、取引先の手助けも
街の声を受け「苦渋の決断」で営業を続けていた
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、大阪府内の観光施設やテーマパークなどは軒並み臨時休業を決める中、通天閣はある二つの理由から営業を続けていた。 一つ目の理由は、通天閣が立地する「新世界」の地元商店主らから「通天閣が休業したら街が死んでしまう。だから営業とライトアップを続けて」と言われたことだった。 通天閣観光の高井隆光社長は「新型コロナウイルスの感染状況をみて、営業を続けると色々なご批判の声もありましたが、地元の方々の声を聞き、悩みましたが苦渋の決断で時間短縮での営業を続けました」と語っていた。
10年以上年間100万人来場者キープも今年3月は昨年比60%減
通天閣の展望台への入場者数は2007年度から長きにわたり年間100万人以上をキープ。近年、絶好調とされる大阪のインバウンドをけん引してきた存在だが、今年2月の入場者数は昨年同時期と比べ30%減、3月は60%も減少していた。 鏡を見たら表面体温がわかる「サーモミラー」を導入し入場者の検温も行ったり、換気の徹底、手洗い・消毒も細かにお願いするなどし、展望台も営業を続けてきた。
取引先の返品菓子を半額販売し支援も続けていた
そして、もう一つの理由は、通天閣の取引先である土産物菓子を扱う業者からの悲鳴のような愚痴を聞いたことだった。各地の観光施設が休館したことから、そこに卸した菓子商品の山のような返品に困っているという話を聞いた高井社長が「なにかできないか」と考え、誰でも入場することができる地下の「わくわくランド」のスペースに返品された菓子の売り場を設け、定価の半額またはそれ以下での販売を始めた。 「この取り組みで、取引先のみなさんの力になれるかなと思いまして」と語っていた高井社長。しかし、緊急事態宣言を受け、今回の一部休業を決めた。 しかし、わくわくランドでの菓子販売については営業を続けるとした。展望台については、当面の間、休業としており、営業再開について高井社長は「今後の状況を注視しつつ、追ってご案内させて頂きます」と話している。