初対面の人とのコミュニケーションを円滑にするために必ず知っておきたい「自己紹介」のNGパターン【キャスター・木場弘子氏が助言】
初対面での挨拶に苦手意識を持つ人も少なくないのではないでしょうか? しかし、この最初の関門を越えてしまえば、相手との距離は一気に縮まり、良好な関係が構築しやすくなります。キャスターや社外役員として活躍し、「伝える」プロでもある木場弘子氏が、著書『次につながる対話力~「伝える」のプロがフリーランスで30年間やってきたこと~』(SDP)より、ビジネスコミュニケーションを円滑に運ぶうえで欠かせない「自己紹介」のコツについて解説します。
挨拶をされて嫌な人はいない
何事につけ「言うは易く、行うは難し」で、対話には「共感」が大切ですよと聞いたところで、それを実際に行えなければ意味はありません。 そんな風にならないよう、ここでは最も簡単で、効果のある「共感」の生み出し方をお教えしたいと思います。 それは――「元気な挨拶」です。 と、お話しすると「そんな、幼稚園の子どもに言うみたいな話」と、呆れる声が聞こえてきそうですが、ちょっと待って下さい。 たとえば、こんな場面を考えてみましょう。朝一番の職場に入って来るスタッフの様子―― 「おはようございます! 爽やかないいお天気ですね!」 なんて、笑顔で元気に挨拶する人と、 「……おはっす(おはようございます、と言っているつもりのよう)」 なんて、目も合わせずにボソボソッとつぶやくだけの人、どちらの相手と仕事の話をしたいと思いますか? 答えは、聞くまでもないでしょう。 まさか今時、「おはっす」さんのような人はいないだろうと思いきや、スタッフに聞いてみると、世代を問わず意外なほどいらしたそうです。でも、これでは互いにテンションも上がりませんし、ましてや「共感」を持ってビジネスの話をしようという空気にはなりませんよね。 知人の管理職の方々に伺うと、最近は部屋に入ってきても挨拶をしない“忍者”のような人が増え、少々イラつくこともあるとか。 フリーランスである私の場合、初対面の方との仕事が多いため、インタビューでも、会議でも、講演でも、挨拶をしないなんて考えたこともありません。企業トップとの対談の現場は、その企業の事務局も、ライターさん、カメラマンさんなどもピリピリして空気がちょっと重いんです。そこを、元気に「おはようございます!」と笑顔で挨拶するだけで、張り詰めた空気が緩んでいくのを感じられます。私はその後、一つ二つ冗談を言ったり、名刺交換の時もちょっとした雑談を入れるなどしてトップの登場を待つようにしています。 仕事の前というのは、誰しも緊張感で硬くなりがちですが、そこから「さあ、やるぞー」という気持ちに変えるためにも、元気な挨拶を交わし合うことでスイッチが入ります。そこにいるみんなで一つのものをつくり上げる、そのための一体感を生む大事な行事だと思うのです。 このように、挨拶というのはその場の空気を温めるキャンプの“火起こし”のようなものです。 挨拶にはまた、互いの間の信頼を生む目に見えない力があります。スーパーマーケットの野菜でも、「私が育てました!」と生産者の方の笑顔とお名前を印刷したカードが付いているだけで、思わず手に取ってしまうもの。そこには、会ったことの無い方からの挨拶を受けて、「美味しく、新鮮な野菜」という信頼感が生まれているように思います。 挨拶には特別な技術は必要ありません。まず、元気に笑顔で「おはようございます!」と声を出す。「挨拶が無い」と怒る人はいても、挨拶されて嫌がる人はいないはずです。
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