レバノンの文化遺産守れ ガザ情勢深刻、修復進まず
2020年にレバノンの首都ベイルートで起きた大規模爆発で被災するなどした文化遺産を保全する取り組みを、中部大(愛知県春日井市)の西山伸一教授(56)らが進めている。同国には仏委任統治時代の建物など美しい文化財が数多く残るが、長引く政治や経済の混乱に加え、近隣のガザ情勢も影響し、修復活動がままならない。西山教授は「古い町並みを守り、現地の人が古里に誇りを持てるようにしたい」と支援の継続を誓う。 西山教授は西アジア文明史・考古学が専門。レバノンは岐阜県とほぼ同じ大きさの小さな国ながら、紀元前に活躍したフェニキア人や中世以降の十字軍、オスマン帝国といった多様な文化の足跡が残る。西山教授は15年から同国の調査を始め、18~19年に北部バトルーン市でローマ時代の繊維工房や石壁などの遺構を発見する成果を上げている。 爆発事故を受け支援を申し出た。22年2月、建築の専門家らを対象に、被害に遭ったベイルート市内にある19世紀後半の建物の壁を、しっくい技術で修復するワークショップをオンラインで開催した。