2か月休養→着信で直感した人的補償「俺やな」 放出に驚きなしも…鷹へ唯一の“心残り”
崩れたモチベーション「ホークスのファンの前で復帰登板」
満員のファンの前で投げることを目標にリハビリに励むなか、迎えたオフに電話が鳴った。「俺やな、と思いました」。鶴岡のFA移籍に伴う人的補償が誰になるか注目されていた時期。ソフトバンクで実績を残していた藤岡だったが「僕が(人的補償の対象に)かからないとは思っていなかった」と感じていた。 「球団事務所に行きました。昔の話なので詳しく覚えていないけど『申し訳ないけど人的補償になりました』といった感じだったと思います」 ソフトバンクでの8年間で255試合に登板し、50ホールドの成績を残しながらもプロテクトされる28人に入っていなかったことに「ショックとかはなかった」という。むしろ、よぎったのは「ホークスのファンの前で復帰登板ができないのか、という思いが1番でした。日本ハムに行っても福岡で投げることはできるけど、ユニホームが違う。ホークスに貢献する姿を見せたかった。それができないと思ったとき、すごく寂しい思いになりました」 体調を崩してチームを離脱してから多くのスタッフ、同僚、ファンらに支えられてきた。そういった人々に対し、再びチームに貢献する姿を見せることを目標に頑張っていた。「恩返しをしたかったです。もう少しホークスでやらせてください、という気持ちは正直ありました。残念な思いはありましたね。ファンの皆さんにも申し訳なかったなと……」。11年経った今だから話せる胸中だった。
湯浅大 / Dai Yuasa