中国政府の「不動産買い取り政策」はそう簡単には行かない
仮に在庫の住宅を簿価で買い取るとなれば、ディベロッパーは大助かりだろうが、膨大な財政資金が必要となるし、「悪徳業者を救うのか」との世論の反発も覚悟せねばならない。逆に時価で買い叩くならば、財政資金は少なくて済むけれども、不動産業者にとってのメリットは小さい。むしろ実勢価格が明らかになることで、「バブル崩壊」という現実を誰もが直視することになる。やっぱりこの問題は、簡単ではないのである。 今回の出張は、上海日本商工クラブさんの公認20周年記念イベントに、講師として呼んでもらったもの。この団体、名前は「クラブ」だが、実態は在外日本人商工会議所組織である。法人会員2162社(個人会員100名)は文字通り世界最大だ。当日は長年にわたる友人である陳子雷教授(上海対外経貿大学)との対談企画もあり、筆者にとってはまことにありがたい機会であった。
■中国渡航は「大冒険」にはあたらず、今こそ海外へ出よう 当日の出席者は、来賓も含めて220人。交換した名刺の枚数は膨大なものとなったが、面白かったのは「双日さんの出張者が来てくれたんだから、ウチでも呼ばなきゃ」という声を聴いたこと。最近は中国出張を忌避する人が多くて、駐在員たちも困っているらしい。しかるに上海在住の邦人は3万7315人(外務省、2023年)もいる。あんまり怖がっていては、彼らが気の毒ではないか。
マジな話、筆者も出張前にはいろんな方から、「上海出張ですか。気をつけてくださいよ」と言われたものである。特に「君に必要なのはアライバルビザではなくて、エグジットビザ(出国査証)ではないのか」という某先輩の「ツッコミ」には大笑いしたが、とはいえ、当方もそんな大冒険をしているつもりはない。まるで「ファーストペンギン」みたいに言われるのはいささか心外である。 ちょっとショッキングなデータがある。日本人のパスポート取得率は今や17%に低下している(外務省、2023年)。日本人が6人集まって、うち5人はパスポートを持っていない計算となる。