【京都のお茶時間】来てよかったと思える、洗練の和空間で和菓子と日本茶を楽しめる店
宇治茶の主産地と知られる京都。古くからお茶文化が息づく街であり、最近では、日本茶をさまざまなスタイルで楽しめる店が増えている。京都生まれ京都育ちの食いしん坊、天野準子さんが、上質なお茶時間を過ごせる店を紹介。今回は「菓子屋 温 京都御幸町」へ。 【写真】「菓子屋 温 京都御幸町」の和菓子たち
河原町「菓子屋 温 京都御幸町」
今回紹介するのは、昨年11月にオープンした和菓子と日本茶を楽しめる「菓子屋 温 京都御幸町」。入り口のカウンターには、さまざまな意匠の和菓子が並んでいるが、実はこれらはすべて大福がベースになっている。 店主・山岡すず花さんが作る大福は、餡を白い餅で包んだお馴染みのものとはまったく違い、独創的。 つぶ餡を餅と黒ごま餡で包み、苔を模したよもぎと抹茶のそぼろ餡で包んだ「苔結び」や、刻んだ柚子をシナモンやカルダモンなどスパイスを合わせた餡と餅で包み、青大豆のうぐいす粉をまぶした「温香」など、姿も素材使いも斬新で、いただく前から味の想像が膨らみ、ワクワクさせてくる。
なかでも、イートイン限定の菓子は、趣向を凝らした和のアシェットデセールといった華やかさ。柚子とシナモン餡を道明寺餅で包み、さらに上からミルク餡を絞り、洋菓子のようなデコレーションに。白小豆を使った白あんにイチゴと豆乳を合わせたソースも、泡仕立てでふわっふわの新食感。甘酸っぱいイチゴとも好相性だ。 山岡さんは、幼い時、年末の餅つきの際に、つきたての餅で作ったいちご大福のおいしさに衝撃を受け、いちご大福好きに。全国のいちご大福を取り寄せ、自身でも作って、友人たちにふるまっていたそう。さらに、店を開く前は、すでに自身の店を高齢のためにたたまれていた熟練の和菓子職人のもとで、みっちり指導を受け、技術を伝承された。 和菓子のお供には、京都府の南部に位置する和束町で採れる有機栽培の日本茶を用意。和束町は、宇治茶の主産地であり、古くから上質な茶葉が採れることで知られている。店を始める前から集めていたという現代作家の急須や茶碗もセンスがよく、目を楽しませてくれる。