和倉再建へすし握る 被災の人気店復活、炊き出し奔走
●堀納さん意欲 能登半島地震で被災した七尾市和倉温泉の人気すし店「のぶ寿司(旧・信ずし)」が13日、元日以来となる営業にこぎ着けた。店長・統括料理長の堀納信晃さん(49)=和倉町=は休業中、避難所での炊き出しや地域の被災家屋の片付けに奔走してきた。地震で奪われた時間を取り戻すように自慢のにぎりずしを提供し、「和倉ににぎわいを取り戻す」と再建の一歩を踏み出した。 午前11時の開店とともに待ちわびた客が続々と訪れた。甘エビやカニ、ブリ。堀納さんはネタケースから地物のネタを取り出して次々とすしを握り、常連との会話を弾ませた。 店舗は地震で内壁が全て落ち、調理器具や水槽などが散らばった床は足の踏み場がなかった。断水も3月末まで続いた。堀納さんは不安を募らせながらも、飲食店仲間らと避難所で炊き出しを行い、ボランティアで被災家屋の震災ごみの片付けを進めてきた。 中能登町出身の堀納さんは鵬学園高を卒業後、横浜市で修業。24歳で信寿司に入り、現在は名店「小松弥助」(金沢市)で握る刀祢修社長(63)から技を学んできた。7月からは大阪の商業施設「KITTE大阪」内にある「日本料理 加賀屋」の板前を指導した。 店には加賀屋の社員3人を「在籍型出向」で受け入れた。休業中の旅館が多く、観光客が戻らない和倉温泉。堀納さんは「客の『おいしい』を聞いたら元気が出る。大勢の人が戻るまで踏ん張りたい」と話した。