フェムテックは、治療のあり方をどう変える?
治療技術の進歩
新しいテクノロジーは、研究をも推進する。Vulvaeは、陰部の疾患に関する史上最大のデータベースの構築に貢献した。しかしプライバシーの問題から、40万件の観察データ(イタリアの大学との協力により収集)はもちろん、ユーザーがシェアした情報はすべて匿名化されなければならない。 デジタルテクノロジーと人工知能に多くの関心が寄せられる一方、倫理的な問題もある。「アメリカで中絶が違法になった際には、月経追跡アプリに入力されたデータは、訴追の証拠となる可能性がある」と、イノベーション分野に特化したブラスト法律事務所の共同創設者で弁護士のクレマンス・マローラは述べる。 健康データはセンシティブであり、アプリやデバイスで個人情報をシェアする前に、データが機密であること、RGPD(一般データ保護規則)に準拠していること、ヨーロッパのサーバーでホストされていることを確認することが重要だ。 医師たちの間でも意見は分かれている。神経科医で書籍『Humanité et numérique(原題)』(Apogée刊)共同編集者のセルヴァーヌ・ムートン医師は、制限なしにこうしたデータが使用されることに懐疑的な立場を表明している。「真の問題は、アプリがそれぞれの患者に本当に何らかの付加価値をもたらしているかどうかということ」と彼女は述べ、デジタルツールの影響に注意を払う。 パスカル・マイヤー医師は次のように断言する。「私が恐れているのは、医師の監視なしに、独自の判断を下すアプリです」。ただし、技術的にはまだ実現可能でないと彼は考えている。これらの新たなテクノロジーがどれほど優れているか否かにかかわらず、あくまでも補助ツールとしての位置に留まるべきだ。 「すべてをアルゴリズム処理に委ねることは、人間を機械に委ねること。人間はそれよりもはるかに複雑です」とセルヴァーヌ・ムートン医師は述べ、人間関係と診療はテクノロジーに置き換わるものではないと強調している。