EDLP=毎日安い<オーケー>関西初出店…商品選び抜き「ここなら損しない」スーパーに
「特売」戦略にせず
コロナ禍は、スーパー業界にとって「巣ごもり」という形で追い風になったが、世界中でインフレ(物価上昇)が強まり、色々なモノが値上がりする契機になった。消費者はもう値上げに驚かなくなっているが、「財布」そのものが大きくなったわけではない。1回の買い物の予算はほとんど変わっておらず、お買い得な商品を選び、買い物点数を減らすなどしている。 我々自身も様々なコスト高はあるが、少しでも転嫁しなくて済むように工夫し、お客様の生活コストが上がらないように努力したい。 スーパー業界では「ハイ&ロー」と呼ばれる、一定期間だけ一部の商品を安くする特売メインの価格戦略をとる店が多い。 しかし、当社は40年近く前から、様々な商品がいつでも安い「エブリデー・ロープライス(EDLP)」戦略を打ち出し、お客様の支持を得てきた。EDLPは、特売日に見込める大きな売り上げがなく、仕入れや運営に関する日々の徹底したコスト低減が求められるだけに、ハイ&ローでやっている店が「明日からEDLPやります」というのは容易ではない。価格戦略の変更は覚悟がいる。 関東ではEDLPを採用した競合店も出てきているが、関西ではまだ少ない印象だ。我々の強みはしっかりとした商品の選別とEDLPに基づく「ここで買えば損しない」という値付けにあり、関西でも喜んでもらえると思う。
業界再編の呼び水なるか
消費者の鮮度志向が高い日本では、地場スーパーが存在感を示してきた。フレッシュな食品や総菜を扱うためには、仕入れノウハウや産地との結びつきが強みとなるためだ。 しかし、人口減少による需要の縮小や働き手不足で、省力化投資が欠かせない中、経営体力の乏しい企業は立ちゆかなくなるとの危機感が強まっている。 経済産業省によると、福井県を含む関西2府5県のドラッグストアは10年で1・5倍に増加し、スーパーから顧客を奪っている。 一方、スーパー側は中四国地盤のフジがイオン傘下に入り、関西スーパーマーケットは、エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング傘下のイズミヤ、阪急オアシスと経営統合した。 二宮社長は、関西での出店拡大に意欲を示した。店舗網を増やし、大規模なほど優位となる規模の経済を働かせることで、EDLP戦略の要となるコスト削減が実現できるからだ。 オーケーの進出が、関西のスーパーマーケット業界で、再編の呼び水となる可能性もある。(升田)
<オーケー>
東京・日本橋の酒類問屋の三男として生まれた飯田勧氏(今年4月に死去)が1958年に創業した。首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)に155店舗(9月末時点)を展開し、11月26日には大阪府東大阪市に関西1号店を開く。2024年3月期の営業収益は6238億円、最終利益は259億円。