法定相続分による相続登記に注意 問題点や不動産を共有するデメリットを解説
4. 相続登記は義務に
相続登記は2024年(令和6年)4月1日に義務化されました。不動産を相続した相続人は、「不動産を相続したことを知ったときから3年以内」に相続登記を行う必要があり、正当な理由なく期限内に相続登記をしなかった人には10万円以下の過料が科せられることになります。 また、全国の法務局において、長期間(30年以上)にわたって相続登記が行われていない土地について、その土地の所有者の法定相続人を調査し、この調査で判明した法定相続人に対して、相続登記の促進を目的として法務局から通知書を送付する制度も平成30年に開始しています。
5. 相続人申告登記もスタート
相続登記義務化に伴い、相続人申告登記という制度もスタートしました。 この制度を利用すれば、相続が発生した不動産について自分が相続人のひとりであることを法務局に申し出ることで相続登記義務を履行したことになります。 これまでは、遺産分割協議がまとまらない時に相続登記するには「法定相続分による登記」しか方法がありませんでした。一方で、すでに説明した通り、法定相続分による登記にはデメリットがたくさんあります。 すぐに相続登記を行うことができないときには、相続人申告登記の申出を行うことで、各相続人が単独で簡単に登記義務を履行することができます。この申出を行っておけば焦らずゆっくりと遺産分割協議を行うことできるので、登記義務を履行するためだけの安易な「法定相続分による登記」を避けることができるでしょう。
5. まとめ 相続登記に不安があれば司法書士に相談を
相続登記の義務化や法務局からの通知制度など相続登記を速やかに行うことが求められています。しかしながら、安易に法定相続分による相続登記を行うと不動産が共有状態になり、さまざまな問題が生じる可能性があります。相続登記について不安や疑問のある場合は、お近くの司法書士へご相談ください。 (記事は2024年6月1日時点の情報に基づいています)
細井勇樹(司法書士・行政書士)プロフィール
東京都大田区生まれ、埼玉県川口市在住。平成18年、司法書士法人リーガル・フェイスへ入社。 補助者として不動産登記の実務を学びながら、コツコツと勉強を積み重ね、平成27年に司法書士試験・行政書士試験の両方に合格する。 現在はダブルライセンスを活かして遺産承継や相続登記など相続関連の業務を行う傍ら、リーガル・フェイスグループ西日本事業部長兼、相続・商業課課長として所員のマネジメントも行う。「士業もサービス業である」を信条に、誠実・親切・丁寧な対応を心掛けている。
細井勇樹(司法書士・行政書士)