尹大統領の出国禁止措置、韓国警察が検討…最高検は現職大統領を初めて内乱罪で捜査
【ソウル=小池和樹】韓国最高検の捜査本部は8日、戒厳令を宣布した尹錫悦(ユンソンニョル)大統領を内乱と職権乱用容疑で捜査していると明らかにした。 【動画】戒厳令の夜、緊迫するソウル
韓国憲法で、大統領は在職中に刑事訴追されないが「内乱と外患の罪は除く」と規定している。軍を投入してデモを弾圧した1980年5月の光州事件などで内乱罪などに問われた全斗煥(チョンドゥファン)、盧泰愚(ノテウ)元大統領が97年4月、最高裁で有罪確定判決を受けたが、現職の大統領を内乱罪で捜査するのは初めて。
内乱の首謀者と認定されれば死刑または無期懲役か無期の禁錮刑を受ける。今後、尹氏の逮捕に踏み切るかどうかも注目される。捜査では、憲法77条が大統領に戒厳令の宣布を認める「戦時、事変、これに準ずる国家非常事態」にあったのかどうか、手続きの適法性などが問われそうだ。検察の特別捜査本部は8日、「職権を乱用し、憲法を乱す目的で行った」とする見方を記者会見で示した。
聯合ニュースによると検察は8日、尹氏に戒厳令宣布を建議した金龍顕(キムヨンヒョン)前国防相を緊急逮捕した。9日午後にも内乱容疑などで逮捕状を裁判所に請求する見通し。
尹氏をめぐっては、警察や政府高官らを捜査する「高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)」も捜査しているほか、野党は常設特別検察官による捜査要求案を国会に提出している。聯合ニュースによると警察は9日、「大統領でも要件が合えば緊急逮捕は可能だ」との見方を示し、尹氏の出国禁止措置を検討中という。