オンライン会議「言い出しかぶりがち」問題、どうしてる? 必要なのは「楽しむ視点」
さまざまなシーンで、「話し方・聞き方」に悩む人は少なくないだろう。例えば、オンラインの会議や打ち合わせ。対面との違いに戸惑ったことがあるはず。識者にコミュニケーションのポイントを聞いた。AERA 2024年12月2日号より。 【「会話クラッシャー」にならないように、心がけは?】 * * * コロナを機にすっかり一般的になったのが、オンラインによる会議や打ち合わせ。その場面にも課題は存在する。一つが、「画面オフ問題」だ。 東京都の会社員の女性(48)は、仕事で50人ほどを相手にオンラインの講演をしたことがある。全員、画面オフだったという。 「こちらの感覚としては独り言みたいな感じになってきちゃって。反応が見えない中で話すってこんなにつらいものかと。その体験で、仕事でそれなりにオフィシャルなものならちゃんと顔を出し、声には出さないものの大きく頷くということを意識するようになりました」 ■指名されればしゃべる 話し方などを学ぶ「コミュニケーション・アカデミー」主宰の西任暁子さんも、「オンライン会議で誰も発言してくれない」という悩みを聞くことは多いという。 「画面オフにしていれば、自分の存在感を消すことができて楽ですよね。とくに今の時代は、『心のコミュニケーションコスト』を省こうとする傾向があるなと感じています」 たとえば若い世代は休みや退職の連絡もLINEだったり。上の世代はこれまで力やルールで相手を動かそうとしてきたと西任さんは言う。相手のネガティブな反応が想像されるコミュニケーションにおいて、そのエネルギーをダイレクトに受け取るコストを省きたい思いが、違った形で表れているというのだ。 「でも人間は易(やす)き方向に流れるもの。それができる状況なら、楽な方に行くのは自然です。相手が生まれた時代や環境で育っていたら自分もそうなっていたかもしれない。やはりここでも、『相手が間違っている』と責めるのではなく、なぜそうなっているかの背景を考え、聞き、寄り添っていきたいですね」