哨戒機パイロット 育成の最前線…中国船など警戒監視
日テレNEWS NNN
中国の海洋進出が進む中、警戒監視に当たる海上自衛隊の任務は急増しています。哨戒機パイロット育成の最前線を取材しました。 ◇ 海上自衛隊・那覇基地。 不審な船などの警戒監視にあたる哨戒機のパイロット・有川賢(ありかわ・さとし)さん。入隊35年目のベテランです。 那覇基地がカバーする南西地域は中国の海洋進出が活発化。 有川さんは、この重要なエリアを監視する数十人のパイロットの中心的存在です。
有川賢 三等海佐 「小さな変化も兆候も見逃さないで、ぜひ後輩には柔軟・迅速に対応出来るようになってほしいなと」 指導を受けるのは、副操縦士歴2年の若手、浅海篤輝(あさかい・あつき)さん。正操縦士を目指し訓練中です。 浅海篤輝 一等海尉 「我々の中ではレジェンドと呼ばれています。卓越した技量と知識。どんな事象があっても対応してくださるというか」 有川賢 三等海佐 「格下げにならないように頑張っていきたいと思います」
フライト前に、哨戒機「P-3C」の機体を目視で確認する有川さんと浅海さん。クルー11人の命を預かるパイロットが、最終チェックするのです。 いよいよ離陸。 有川賢 三等海佐 「ギアアップ」 最初は、離着陸を繰り返し行うタッチアンドゴー訓練です。 操縦に必要な技術が全て入った基礎中の基礎。浅海さんの操縦を、有川さんが指導します。 浅海篤輝 一等海尉 「右旋回」 順調そうに見えますが… 有川賢 三等海佐 「オーバーシュート(大回り)気味だからね」 滑走路に向け旋回するとき、大回りしすぎていると指摘。那覇のような海に囲まれた空港は、目標となる建物がなく、難しいのです。
続いて行われたのは、一般の船舶を不審船に見立て、積み荷などを確認する識別訓練。 この日、訓練が行われたのは沖縄本島と宮古島の間の海域。今年この海域では、初めて中国とロシア艦艇の同時通過が確認されています。緊張感高まるこのエリアで、中国軍などの監視に不可欠な訓練をクルー全員で連携して行います。 レーダーや逆探知装置を監視する「センサー3」が船舶の情報を確認。戦術を決める「戦術員(TACO)」がパイロットと相談して目標を決定。航法・通信員が安全確保のため、基地に位置情報などを随時伝えます。 センサー3 「TACO・スリー、この付近の水上船舶1番、2番、3番」 戦術員(TACO) 「了解。大きさ、知らせ」 センサー3 「1番がミドル、2番3番はスモール」 浅海篤輝 一等海尉 「2番に向けていく」 目標の商船に近づいていきます。 有川賢 三等海佐 「目標はサウスバンドで進んでいるからね。進んでいる位置を予測して、艦尾に入っていくように」 パイロットは、動く船舶の速度を考慮したうえで、一定の距離を保ち、隊員が記録写真を撮れるようにしなければなりません。