ウクライナ軍、クルスク州2カ所目の侵攻先で行き詰まる 最高峰の車両を大量に損失
ウクライナ軍の最大8個の旅団から抽出された計12個かそこらの各400人規模の大隊で構成される強力な部隊は8月6日、ロシア西部クルスク州に侵攻し、ロシア側守備隊の不用意を突いて同州のざっと1000平方kmほどの土地を一気に占領した。 1カ月あまりあとの9月12日、この突出部から30kmほど西のクルスク州ノービプーチ村付近で、ウクライナ軍の数個の中隊や大隊から成る別の部隊が新たな地上越境攻撃に乗り出した。ウクライナ軍は大胆にも、新たな部隊を東の突出部まで進撃させて、この攻撃軸と突出部、両国の国境線の間に、数千人規模ともみられるロシア側部隊を閉じ込めることを狙ったとみられる。 だが数週間にわたる激戦後、ウクライナ軍の第2次侵攻作戦はノービプーチの北数kmにあるベショロエ村の南方の平原で行き詰まったようだ。 9月20日かその少し前、ドイツ製マルダー歩兵戦闘車やスウェーデン製のCV90装甲戦闘車、Strv122戦車に乗った強力なウクライナ軍部隊は、ベショロエとその北東6.5kmほどのグルシュコボ町を結ぶ幹線道路を進んでいた。 ロシア軍の第106親衛空挺師団が待ち構えていた。ロシア側は地雷や大砲、対戦車ミサイル、自爆型のFPV(一人称視点)ドローンで、ウクライナ側によるこの日の攻撃や、それに続く攻撃を撃退したもようだ。 第106空挺師団が今週、ソーシャルメディアに投稿したドローンからの映像には、損傷した15両か16両のウクライナ軍車両が映っている。それにはCV90が1両か2両、マルダー1両、米国製のM2ブラッドレー歩兵戦闘車とストライカー装輪装甲車各1両など、ウクライナ軍の保有する最も高性能な車両も含まれる。 これらの車両の組み合わせは、ウクライナ軍参謀本部がこの第2次侵攻作戦を重視していることを物語っている。ノービプーチ周辺からベショロエ、グルシュコボへの進撃を図る第225独立強襲大隊と第501独立海兵大隊には、CV90を装備する第21独立機械化旅団、M2を装備する第47独立機械化旅団、マルダーとストライカーを装備する第95独立空中強襲旅団の中隊や大隊が合流している。これらの旅団や大隊はウクライナ軍の戦力組成において最高の部類に入る部隊だ。 ところが、これらの精鋭部隊でさえ、ベショロエを越えてグルシュコボに到達するのに苦戦している。この軍勢がこの軸で前進できない限り、突出部と結んでロシア側部隊を包囲することは夢物語に終わるだろう。 攻撃が行き詰まっているウクライナ軍にとって慰めがあるとすれば、ロシア側もまたベショロエ─グルシュコボ軸での応戦に苦労していることだ。第106空挺師団などの空挺部隊による反撃はウクライナ側の攻撃と同様に、ミサイルや大砲、ドローンなどで粉砕されている。道路や付近の平原には、ウクライナ軍の車両と同じくらいの数の損傷したロシア軍車両が転がっている。 ただ、留意すべきなのは、ロシア軍のほうがウクライナ軍よりも失える車両数に余裕があるということだ。
David Axe