中高大生「キス」「性交」も経験減、「自慰」は増 性教育協会調査で浮かぶ〝性の草食化〟
「日本性教育協会」(東京都千代田区)は令和5年度の「青少年の性行動全国調査」を3日、発表した。大学生、高校生、中学生の男女別すべてでキスの経験率が平成17年以降4回の調査で減少した一方、自慰の経験率は23年以降3回の調査で増加した。性交の経験率は高校生の男女で17年調査から半減した。性に消極的な若者の「草食化」が進んでいる実態が浮かび上がる。 【アンケート結果】「子供の作り方が分からない」といった〝超草食〟男性が増えている ■中高生でキスの経験率が半減 性教育協会は昭和49年に総理府(当時)の委託を受けて、第1回調査を実施。ほぼ6年おきに調査し、「デート」「キス」「性交」などの経験について、令和5年まで延べ約12万人の生徒や学生の経験を尋ねた。 今回は昨年9月から今年6月まで全国で実施。4627人の中学生、4321人の高校生、3614人の大学生から回答を得た。 デートの経験について「ある」と回答したのが、大学生男子が76・6%、女子が72・9%だった。高校生男子は47・3%、女子は52・4%。中学生男子は19・7%、女子が19・9%。高校生女子は第1回から全ての調査で男子よりも経験率が高かった。 キスの経験に関しては、大学生男子が60・8%、女子が53・9%、高校生男子が22・8%、女子が27・5%、中学生男子、女子はともに5・7%だった。大学生男子を除き各階層のキス経験率が最も多かった平成17年の調査はそれぞれ72・2%、71・6%、48・6%、52・2%、15・8%、19・2%。最近18年間で中高生でキスの経験率がおよそ半減している。高校生では女子が男子より、大学生では男子が女子よりキス経験率が高く、逆転現象がみられた。 ■高校生の減少幅が大きい 性交の経験率については、大学生男子が53・7%、女子が43・8%。高校生男子が12%、女子が14・8%。中学生男子が3%、女子が3・4%だった。大学生の経験率のピークは男子が平成11年で63%、女子が17年で60.1%だった。高校生は平成17年の男子26.8%、女子30.3%をピークに半減している。キスと同じく、性交の経験率も高校生では女子が、大学生では男子の方が高かった。 自慰の経験率について、平成29年の前回調査に比べて、中高大生の男女すべてで経験率が上昇した。中学生女子は約10%、高校生男子は90%弱、高校生女子は20%強とそれぞれ過去最高を更新した。(自慰の経験率に関しては正確な数値は明らかにされていない)
平成29年の前回調査に比べ、デート、キス、性交の各経験率は高校生が中学生、大学生よりも減少幅が大きい傾向にあった。武蔵大社会学部の林雄亮教授(計量社会学)は、「一般的に性について関心を持ち始めることが多い中学生の時期にコロナ禍によって対人関係や友人らとのコミュニケーションが制限されており、その影響が少なからず、今回の結果に反映されているのではないか」と分析している。