国内初「恐竜学部」は何を学べるの? 入試倍率10倍、学部長「就職先は引く手あまた」
建設・土木、デジタル解析…需要ある業界に強み
―就職先が気になります。 研究職につけるのはごく一握りだから、恐竜の研究をしても就職がないんじゃないかと思われるかもしれません。説明したように、恐竜学部では恐竜だけを研究する訳でなく、自然観察力やデジタル分析のスキル、アウトリーチする発信力を身につけます。だから、就職先がないんじゃないかという質問は適当ではない。建設・土木業界など、自然を相手にする職業は需要が高いのに人材不足です。むしろ引く手あまたです。 例えば、土木の現場のトンネル工事で壊れている部分を明らかにするためにドローンを使ったり、レーザースキャンで測量したり、集めたデータを解析したり。これらは全て恐竜学で学ぶ力とつながります。デジタル技術を身につけデータ分析も学ぶので、デジタル系の産業でも力が発揮できますよ。発信力もつくので営業もできる。多岐にわたる職業の道があります。
一生恐竜を愛でる生き方ができる
―恐竜学部に関心がある高校生にメッセージをお願いします。 アニメが好きな人も、怪獣が好きな人も、どんな職業に就いていても趣味として楽しめますよね。恐竜研究も一緒で、研究者にならなくったって一生関わって楽しめるんですよ。 YouTubeやSNSなどで恐竜が好きで発信している人、恐竜のイラストを描いている人を見かけます。好きだけど専門家ではない人がほとんどです。我々はそうした恐竜愛がある人の活動をサポートできる体制を大学に作りたい。恐竜学で学んだことを社会的に生かす職業につけるチャンスもある。学生が「一生恐竜の模型を作って暮らしたい」という思いがあれば、それを叶えることもできるかも。 「卒業したらはい終わり」ではなく、卒業生のネットワークを作り、博物館の展示のサポートや、興味があるなら発掘のボランティアもできるようにしたい。大学の先生とのつながりも維持できる。 「恐竜に興味がある人はみんな福井県に住んでください。恐竜博物館と恐竜学部でみんなで一緒に恐竜を楽しんで人生を生きていきましょう」。そういう形になるのが一番よいなと思っています。 ―となると、恐竜愛が深い高校生しか求めていないですか? もちろん、恐竜への情熱を持った人は全員受け入れたいくらいの思いです。ただ、恐竜に限らず、野外での研究や「昆虫が好き」「宇宙が好き」など自然科学に興味があって明らかにしたいことがある人は誰でもウェルカムですよ! 「鳥が何で飛ぶか分からない。恐竜と鳥との関係を探りたい」「隕石衝突と生物の影響について学びたい」。それもよいですね。いろんなバリエーションで学べるので、ぜひ自然科学に関心がある高校生に門をたたいてもらいたいです。