国内初「恐竜学部」は何を学べるの? 入試倍率10倍、学部長「就職先は引く手あまた」
―恐竜が生きていた時代に比べれば、今の地球温暖化は「まだまだ」ですね……。 両極に氷がなかったと言われるくらい温暖な環境でした。どれくらい雨が降るか、自然環境は森林地帯かサバンナなのか、それらが地球にどのくらい広がっていて、恐竜はどこに住んで、どうやって環境に適応していったのか。 「なぜ恐竜が大量絶滅したのか」という問いに答えるには、恐竜の研究だけだとわからない。環境などの外的要因は、これまでの恐竜学にはあまり含まれなかった学問領域になります。 恐竜という生き物がこの地球でどう適応して生まれて死んでいったのかを明らかにすることで、これから環境が変わって、哺乳動物あるいは人間がどう進化して、どう滅んでいくか「生物進化」を明らかにできるのです。人間がこれからどうやって生きていけばよいかのヒントは過去に眠ってます。
「恐竜だけ学ぶ学部」は勘違い
―「恐竜学部」と聞くと、恐竜のことだけをひたすら学ぶイメージがあります。 恐竜だけの研究をやっていると「恐竜の本当の姿」はなかなか見えてきません。過去の生物は、絶滅していますから生態観測ができないし、昔どうやって生きていたか、環境もわからない。恐竜の姿を復元して、進化を明らかにしようと思う時には、原生の環境や今存在する生物と比較するしかない。それができなければ、ドラえもんのタイムマシーンを発明して過去に行くしかない……。 ―では、恐竜学部では何を学んでいくのでしょうか。 1年次は一般教育科目のほか、古生物学や地学、地層学などの基礎を学び、2年次以降に専門的な知識や技術を深めます。3年次に「恐竜・古生物コース」「地質・古環境コース」の二つのコースに分かれます。といっても、地質・古環境を選んでも恐竜研究ができます。環境や恐竜絶滅を含めた視野の研究をするコースです。いずれのコースでも4年次には卒論をまとめてもらいます。
恐竜博物館で研究成果をアウトリーチ
―恐竜学部のキャンパスは、県立恐竜博物館と同じ勝山市に建設していますね。 県立恐竜博物館と密接に連携しながら研究を進めます。地域貢献は公立大学の使命の一つです。恐竜学の研究成果を、地域・社会で活用します。そのために、学生が博物館の新しい展示物を作る予定です。博物館は、同じ展示だけを続けては、飽きられてしまいます。 研究しながら、「恐竜博物館でアウトリーチ(周知)」する。恐竜学部が博物館の新しいコンテンツを次々に提供していきたいんです。新しい恐竜の知見をどんどんみなさんにお見せして、地域貢献につなげていきます。