国内初「恐竜学部」は何を学べるの? 入試倍率10倍、学部長「就職先は引く手あまた」
―具体的に学生は博物館とどう関わるのでしょうか。 恐竜学部では、学生が研究成果をアウトリーチすることにも重きを置きます。模型作り、あるいはアニメーションの形態もあり得ます。観光資源化してもよいのです。 アウトリーチする力は、どんな職業についても求められる能力です。恐竜博物館で実際に来館者に展示の解説をして、どんな展示を設ければ来館者の理解が深まるか提案する。授業科目としてアウトリーチ教育を行います。
CTやドローン、最先端技術のスキルを身につける
―どんなスキルが身に付きますか? 我々は、生理学的な解析を用いた新しい恐竜学を構築しようとしています。 「CT(コンピューター断層撮影。X線を用いて断面を画像化する)スキャン」で恐竜の骨の構造を見て、歩く姿勢、生理状態を分析するといった実習の時間をたくさん設けています。恐竜の標本をCTスキャンにかけて画像を組み立て、パソコン上で骨を作ってみるなど、恐竜研究ではCTが欠かせません。デジタル科学を扱う力を養えます。 まず、野外に出て恐竜の骨が発掘された自然を観察し、どういう環境で暮らしていたかデータをとる。画像を撮って、処理して、コンテンツ化して……これからの社会で活躍するには、デジタル技術をある程度習得しているかは非常に大きいと言えます。
発掘や地質調査で「自然観測力」をつける
―自然観察の力も重視されていますね。 野外に出て発掘や地質調査などを行い、自然観測力を養うのは恐竜学部の大きな柱です。国内の恐竜の発掘現場のほか、3年次に参加希望者は海外の発掘現場へも行けます。 地球の気候変動、震災や大雨、洪水などの災害に注目が集まっています。日本は災害大国で、今後も多く災害が起こるでしょう。室内でパソコンを打っているだけでは対策が立てられません。現場に出て観察することが必要です。 例えば、水がここから出ているから地滑りが起こりそうなど、自然を観測して、対策を立てられる人材の需要は高く、人手も全然足りていません。建設会社や土木会社はもちろん、これからの時代、自然観察の力は全ての人間に必要になってくると思います。 自然科学はカオス。自然と相対して観測する時は、AIのようなデジタル技術だけでは無理で、アナログな人間の感性でも対応する必要があるのです。