子ども2人を私立中学に入れたいです。年収400万円+300万円の40代共働き夫婦はNISAで資産形成したほうがいいですか?
NISAというと「非課税貯蓄」という訳語が独り歩きしているようなイメージがあります。イメージで「長期資産形成」=NISA、そして運用益に課税されない、という一部分だけを取り上げて、「子ども2人を私立中学に進学させるならば、長期投資で非課税のNISAがいい」と結論づける前に考えてみたいと思います。
NISAはメリットばかりではない
NISAというとメリットばかりが目につきますが、注意しなければならない点もありますので整理しておきましょう。 1.NISAを利用したからといって必ず収益が出るわけではない 2.運用益は非課税だが、損失もなかったことにされてしまう 3.投資商品を選ぶ際に経験や知識が求められる そもそも、NISAは自分たちで資産を運用することを後押しする制度です。定期預貯金のように、預けっぱなしにして資産が増えるわけではありません。定期預貯金に預けるということは、預けた先の金融機関はその資金を主に国債などの債券に投資するからです。 つまり、投資で得られた収益に課税しないので、「みなさんの自己責任で投資信託など(元本保証でない)商品に投資しましょう」というメッセージが込められています。言い換えると、「収益が得られた場合、それはなかったことにしてあげますよ。しかし、損失が出た場合にも、なかったことにしますからね」ということです。 また、投資信託は元本保証でないため、「必ず収益が出る」というわけでもありません。さらに、上場投資信託は数多くあります。そのなかから、長期的に収益が上がると思われるものを「自分で」選ばなければなりません。 こういった注意点を考えると、NISA=万能と考えるのはリスクがある、といえるかもしれません。
700万円ダブルインカムでも、子ども2人の私立中学は厳しい
次に、ベースとなる夫婦共働きでの年収700万円について考えてみましょう。 家計運営は教育費だけを取り出して考えることはできず、住居費や日頃の生活費などを総合的に考えあわせなければなりません。また2人のお子さまの年齢、ご夫婦の年齢なども考える必要があります。 2人のお子さまの年齢が大きく離れている場合は、1人目と2人目はそれぞれ1人として2回、と考えることもできますが、年齢が接近している場合は「かける2」で考えなければいけません。そのうえ、住居費が家計に対してどの程度のウエイトを占めているかによって状況は変わります。 仮に住居費負担が軽い場合で、年収2人あわせて700万円=2人の所得は、合算でざっくり8がけの560万円(税金・社会保険料などを控除した場合の可処分所得)と仮定した場合、これらの所得だけで2人の私立中学学費を賄うのは厳しいといえるでしょう。