相模原事件受け日本障害者協議会の藤井代表が会見(全文1)事件の概要と見解
今回の事件を契機にして私たちは何をなすべきか
もう少し時間をいただきまして、それではこれから今回の事件を契機にして私たちは何をなすべきか、これについて簡単にコメントをします。直ちに行うことと、そして本質的な課題とを区分けして対処すべきです。直ちに行うことの基本は、容疑者の直接的な動機を中心に真相を解明することでしょう。また、これに加えて事件の発生、あるいは拡大。これについて施設の、あるいは法人の不備がなかったか。また、政策上、行政上の盲点がなかったか。そのほか想定されるあらゆる角度から、冷静で厳正な検証を行うわけです。 並行して本質的な課題に迫るべきです。その点で気掛かりなのは事件後の日本政府の対応です。例えば政府は措置入院制度を見直す旨を報道してますけども、拙速な対応はむしろ新しい混乱を招くのではないかと思います。いわゆる社会防衛的な政策だけでは決してあってはいけないと、こう思います。この半世紀を振り返ってみても、日本の精神障害者の政策は絶えず大きな事件とセットで動いてきました。事件とあるべき方向を区分けをして論じる、そういう政策手法を採ってほしいと思います。 同じく厚労省は、障害者施設の防犯策の強化を強調しています。これも釈然としません。大事なことは、もちろん防犯策は大事ではありますけども、もっと本質的な改善策と併せて提言するときにその趣旨が生きてくると思います。防犯策のみの強化は地域との隔絶の新たなきっかけになりかねません。 本質的なこれからの政策のポイントを2点、簡単に述べます。障害者政策に関しては、社会防衛的な視点、あるいは集中管理的な視点、これと決別をして、言い換えれば地域で暮らすための質と量の政策を飛躍的に拡充することです。施設から地域へ、医療中心から生活中心へ、もはやスローガンであってはなりません。政治の表舞台で論じ、ゴールを明確に設定すべきです。 もう1つの本質は社会の在り方であり、強者の論理、これとの決別です。かつて国連は、一部の構成員を閉め出す社会は弱く、もろいと明言し、また、障害者権利条約の第17条では、その心身がそのままの状態で尊重される権利を有すると明記されています。こうした視点に沿って社会の標準値を修復、修正すべきかと思います。 19人の命は戻ってはきません。しかし、私たちにできることはあるはずです。今度の不幸な事件をインクルーシブな社会、分け隔てのない社会をつくるための新しいきっかけにすべきです。このことを市民社会全体として追求し、また私たち当事者、あるいは障害者団体も全力を挙げていくことを決意して、私のお話をこれで終わります。 Thank you so much. 神保:(英語)。日本語で聞いていただいても結構です。どなたかいますか。 女性:あちらで手を上げられてる方が。