「世界にたったの2台、50億円以上の名車も...」《世界的デザイナー》ラルフ・ローレン氏の愛車コレクションを撮影した日本人フォトグラファーが見た「名車の本質」
「ラルフ・ローレンの車の取材に行く?」
「動くアート」 伝説的アパレルデザイナーのラルフ・ローレン氏(85)は、車というアイテムをそう表現した。 【マンガ】外国人ドライバーが岡山県の道路で「日本やばい」と驚愕したワケ ラルフ・ローレン氏自身も車をこよなく愛する一人で、これまで愛車に費やしてきた総額は日本円で385億円以上と世界有数のカー・コレクターとして知られている。 そんな彼の秘蔵コレクションの撮影した人物がいる。秦淳司氏だ。秦氏は広告撮影のほかに雑誌『ENGINE』(新潮社)で15年以上にわたり活躍。まさに車の美しさを知り尽くすフォトグラファーの1人だ。その経緯を秦氏が振り返る。(以下、「」は秦氏) 「元々『ENGINE』は車とライフスタイルを扱う雑誌でした。同誌には『乗る車×着る服』というページがあって、私はそこでの撮影を担当。それまではファッション誌での人物撮影がメインだったんですが『ENGINE』の仕事から本格的に車とモデルの撮影をスタートしました。 この『ENGINE』でのスタジオ撮影はモデルのファッションと車を合わせたスタイルを見せるページですが、その合間にクルマ単体のディテールを撮影していました。気がつくと約15年、かなり多くの車に触れてきた事になります」 その『ENGINE』での取材で訪れたのがラルフ・ローレン氏のガレージだった。 「当時の編集長だった村上政さんから『ラルフ・ローレンの車の取材に行く?』と誘ってもらったのがきっかけです。内容はラルフ・ローレン氏が個人的に所有する車のみの撮影というものでした」
50億円以上の「名車」
ガレージはニューヨークから車でおよそ2時間走らせた場所にあったという。当日、秦氏と『ENGINE』の編集長、それにラルフ・ローレンの広報の3人での撮影となった。 「ガレージに入った瞬間、20台ほどの車がズラリと並んでいて、まさに夢のようでした。撮影は2時間ほどで、1台ずつ広報の方が説明をしてくれるんですが、とても時間が追いつかいない。その時は紹介できる写真を撮ってから、あとは自分の好きな角度を選んで撮影を続けました。 ようやく終わったかと思ったら、広報の方が『じゃあ次は2階に行きましょう』と言い出して、耳を疑いました。2階部分はさらに貴重なクラシックカーたちが格納されていました。1ヵ月ぐらい撮影合宿したい気分でしたね(笑)」 ラルフ・ローレン氏のコレクションには言わずと知れた名車ばかりが並ぶ。フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン、ジャガー、アルファロメオ…。いずれも1920~2000年代を駆け抜けたヨーロッパを代表する車たちだ。なかでも目を引くのが1938年式のブガッティ57SCアトランティックだ。 世界に2台しかないクラシックカーでとして知られる同車は、ラルフ氏のコレクションでも最も高価な一品とも言われ、その価格は50億円以上ともされる。