巨人の救世主「ヘルナンデス」はドミニカの天才野球少年だった…開幕前に帰国したオドーアとの大きな違い
3月末、ルーグネッド・オドーア(30)が巨人を退団した。オープン戦の打率は1割7分6厘、34打数で9三振。離日を惜しむ声は皆無だった。そして5月13日、今度はエリエ・ヘルナンデス(29)が巨人の入団記者会見に出席した。ヘルナンデスは報道陣を前に「チームの力になれるよう、神様に感謝して100%の力を出せるように頑張りたい」と抱負を語った。 【写真をみる】8試合で打率4割超え9打点の大活躍! メジャーで挫折した“天才少年”ヘルナンデスが「日本プロ野球と相性が良い」ワケは? ***
また巨人が“ハズレ外国人”を掴んだのではないか──そんな不安の声も当初は散見されたが、ヘルナンデスは今、打ちに打ちまくっている。6月6日現在、9試合の出場で打率は何と4割5厘、2本塁打、9打点の大活躍なのだ。担当記者が言う。 「スポーツメディアは大騒ぎです。これまでの巨人は貧打に悩み、守りの野球に徹してきました。ところが5月30日、ソフトバンクとの第3戦でヘルナンデスが3ランを放つとムードが一変。6月2日の西武戦では7点、4日のロッテ戦では18点を取るなど、打線が復調してきたのです。複数の野球評論家が“ヘルナンデス効果”を指摘し、一部のメディアは『ヘルナンデスは巨人V奪還の救世主』と報じました」 メジャー研究家の友成那智氏は「ドミニカ共和国出身のヘルナンデスは、10代の頃から未来のメジャーリーガーとして太鼓判を押されていました。それほど才能が豊かだったのです」と言う。 「MLBの場合、選手は16歳の誕生日を迎えるとチームとの契約が可能になります。そしてドミニカ共和国は“野球選手の輸出大国”です。野球の天才と認められた少年たちは16歳で契約を結ぶため、まず12歳ぐらいで学校を退学します。日中は肉体労働などに従事し、その後はMLBの養成キャンプに通います。ヘルナンデスもこのコースを選択し、MLBのスカウトたちは彼を高く評価していました」
メジャーでの挫折
スカウトが注目したのは、ヘルナンデスの身体能力だ。守備は敏捷で、バッティングではスイングスピードが速い。走も速く、肩も強い。まさに「守る、打つ、走る、投げる」の4拍子が揃った“メジャーリーガー候補生”だった。 「2011年7月にヘルナンデスはロイヤルズと契約を結びました。ところが、この時の契約金が300万ドル(約4・6億円)と高額だったことで注目が集まってしまいます。日本では桁外れの金額であることは言うまでもありませんが、アメリカでも少し高すぎました。マイナーではチームメイトから高額契約を嫉妬されて嫌われるなど、かなり苦労したようです。しかも彼は伸び悩み、19年のオフには自由契約になってしまいました」(同・友成氏) 翌20年12月にレンジャースとマイナー契約を結ぶ。マイナーリーグで地道にプレーを続けていると、とうとうチャンスが訪れた。 「22年7月にメジャー昇格を果たしたのです。まさに“オールドルーキー”でした。このシーズン、レンジャースは苦戦が続いており、ヘルナンデスの抜擢でチームの雰囲気を変えようとしたのだと思います。しかし、首脳陣の期待にヘルナンデスは応えることができませんでした。14試合に出場し、打率は1割8分2厘。出塁率も2割という散々な内容に終わってしまったのです」(同・友成氏)