渋野日向子が13位タイに終わった凱旋試合で得たものは何か?
ボギーを叩いた次のホールでスコアをカバーする「バウンスバック率」は、今季の国内ツアー全選手中トップの26・8456を誇る。メンタルの強さが、なせる業だが、その強さを今大会でも発揮した。 また「バック9」に強いという後半巻き返し型のパターンも健在。「早く帰りたいからいいのかな」というのが自己分析だが、前半の課題を後半に修正できる“修正力”の高さが、その理由なのだろう。全英女子を制した“シブコらしさ”を存分に発揮した。。 「スマイルシンデレラと言われることにプレッシャーはまったくない。無理して笑っているわけじゃないし、笑いたいときに笑います」 この日は、2006年以降で大会過去最多となる7631人のギャラリーが来場した。その過剰ともいえる“シブコフィーバー”にも動じない、そのメンタルの強さをプレーと言葉で示した。 実は、この試合を休む選択肢もあった。無理して出場して、予選落ちすれば、これまでゴルフに興味がなかった“にわかファン”を失望させるリスクもあった。だが、渋野自身に欠場の考えはまったくなかった。 5月に国内ツアー初優勝をメジャーの「ワールドレディスサロンパス杯」で果たした翌週は、自宅のある岡山市にいた。当初、次週の「ほけんの窓口レディース」への出場資格がなかったためオフにしていたのだが、優勝によって出場は可能となっていた。それでも地元での用事などが入り見送ることを決めたのだった。 「あのときは休んでしまったので、今回は出ようと思っていた。海外から帰ってきたあとの試合はどうなるのか経験したかった。結果にかかわらず英国に行く前から決めていた」 今回、体調が最悪でも強行出場した理由は、“優勝の次”の大切さがわかっていたから。そう。次を見据えての“挑戦”だったのである。 世界ランキングは米ツアーを主戦場とする畑岡奈紗に次いで日本選手では2番手に急浮上している。全英の優勝によって資格を得た米ツアーのメンバー登録は行使しないことを明言したが、5年の出場資格が与えられた海外メジャーには出場する方針を固めている。 世界ランキングに基づいて決まる来年の東京五輪代表を目指すためにも今回の強行出場の意味は大きい。 「波乱の1週間だったけど、楽しかった。またいろいろと考えることができた。多くの方に『おめでとう』と声を掛けられた。出てよかった」 経験値を上げる意味でも今回の「北海道meijiカップ」の出場は大きな収穫となった。