【インタビュー】山本耕史&仲里依紗が回顧『はたらく細胞』でのアクション経験や親としての思い
細胞を擬人化するという斬新な設定が話題を呼び、シリーズ累計1,000万部を突破した清水茜による人気漫画「はたらく細胞」。本作&スピンオフ作品「はたらく細胞BLACK」を原作にし、シリーズ史上初となる人間の世界も加わった実写映画『はたらく細胞』が全国公開中だ。 【写真】山本耕史&仲里依紗 撮りおろしカット 物語は、酸素を運ぶ赤血球(永野芽郁)、細菌と戦う白血球/好中球(佐藤健)をはじめとした37兆個の細胞たちが、人間の健康と命を守るために日夜全力ではたらく様子が描かれる。白血球は外部から体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除する細胞で、いわゆる武闘派。そんな白血球とともに暴れまわってくれたのが、山本耕史演じるキラーT細胞&仲里依紗演じるNK細胞なのだ。 キラーT細胞は「KILL」と書かれた帽子がトレードマークの体育会系で、肉弾戦が大得意。一方、NK細胞は生まれついての殺し屋で、単独で攻撃の先陣を切る一匹狼。クールなサーベルさばきも披露し、アクションパートの見どころはこの3人がリードしてくれている。 山本&仲には、豪快なアクションに挑んだ際の驚きのエピソードのほか、本作を観て思わず振り返る「どきっとした悪習慣」など、賑やかにクロストークしてもらった。 人気作品への出演、実は原作を知らず… ――百戦錬磨のお二人が“細胞”を演じました。山本さんはキラーT細胞、仲さんはNK細胞のオファーがきて、どう受け止めましたか? 山本:僕は「『はたらく細胞』って何…?」というところから入りました。子供と一緒に原作のアニメを見てみると、体の中を勉強しながらそれぞれの細胞の個性をちゃんと理解できる作りで、感心しましたね。自分の役はと思ったら、勢いがあり体も大きく、「いくぞー!!」と隊員を引き連れるようなキャラクターだったので、とにかく体を鍛えてキープしとかなきゃな、と(笑)。 役としてはある意味、難しいことはない…と言ったら誤解が生まれそうですけど、すごく繊細な芝居を求められている役どころではないのかなと。難しいことを考えずに、キラーT細胞の役目というものに集中できました。里依紗ちゃんはどうだった? 仲:私も山本さんと同じです。原作を知らず、オファーをいただいてから「どんなのだろう?」と見て、「え、こんなかっこいい役なのーっ!?」と自分の役柄にびっくりしました。こうしたかっこいい役を演じること自体ずいぶん久しぶりだったので、まずはNK細胞という役をオファーされたことがすごく新鮮で、嬉しかったです。 あと…情報解禁の後、周りから「『はたらく細胞』に出るの!?」とめちゃくちゃ言われたので、すごい人気なんだなと!「すごい好きな作品だからうれしい!」、「里依紗ちゃん、何役なの? えーめっちゃかっこいい!」とかうれしい言葉ばかりをもらって、こんな人気作品に出られて幸せだ…と後からじわじわきました。 最初はアクションでいっぱいいっぱいで、そんなことを考える余裕がまったくなかったんですが、終わって「NK細胞を演じられて良かった~」と実感しています。 ――おっしゃるように、キラーT細胞、NK細胞ともにすごい手数のアクションを披露されています。準備なども含めかなり時間を費やしたのではないですか? 仲:撮影の前にアクション練習がありました。一番最初に「大体こういう感じのアクションを想定しています」とさらっと、ものすごく高度なアクションの映像を見せられたんです(笑)。あまりにすごすぎて、「えーっと…どれを私がやるんですか…? どれもやれないんですが」という感じでした(笑)。最初は務まるのか、本当に不安でした。 それから、かなりの回数のアクション練習をやりました。受け身などの基礎的なところから始まり、最後は振りをきちんとつけてもらって。筋肉痛と戦いながらやりました。 仲里依紗、山本耕史に「本当に助けられた」 ――山本さんはアクションがお得意かと思いますが、本作ならではのアクションの大変さはありましたか? 山本:いやあ…本当にお互い、立ち回りは苦労したと思いますよ! 仲:うん、本当に、本当に大変でした。 山本:ねえ! 仲:私は武器があるけど、(山本さんは)素手なのでもっと大変でしたよね? 山本:確かに僕は素手のまま殴る、持ち上げて投げる、というような立ち回りが多かったんです。もちろん相手にはぶつけないようにぶんぶん殴るので、空振りをするわけなんです。そうしたら、次の日に手や腕まわりがブワーッと腫れてきて…。何にもぶつけてないんですよ? つまり、(腕を)振った遠心力で細胞がやられてしまって! ――空振りで腕が腫れてしまうものなんですね!? 山本:そう! 初めて知ってびっくりしました。空振りはすごく危ないそうで、特に僕は力が強いもんだから、振っただけでその遠心力で血がガーッと腕に流れるらしいんです。ちゃんとキュッと止めたりしないと、「手、持ってかれますよ」なんてアクション監督に言われて。それでこんなに激痛だったんだ…と。パンパンに腫れたのは衝撃的でしたし、この役で勉強になりましたね。 仲:本当に山本さんはすごいですよね。アクションも殺陣も、私は経験がなかったので本当に助けられました。いつも後ろからこそこそ隠れて山本さんのことを見ていたんですよ(笑)。 山本:え~、そうなの(嬉)? 仲:キャラクター的には対立しなきゃいけないから、そのあたりが難しいんですけど。先日、時代劇で共演させていただいたときも(「大奥」)、時代劇への挑戦が私は初めてだったから、大のプロの山本さんのことを後ろから見ながら勉強させてもらいました。どの作品でも、いつも助けられています。 ――細胞を擬人化するという着眼点の面白さ、細胞の働きの奥深さも魅力ですが、お二人は作品のどんなところに魅力や面白さを感じられましたか? 山本:単純にファンタジーとしても楽しめるし、子供たちに細胞のことをスッと教えてあげられること自体なかなかの発明な気がします。「一緒にパズルやろう」と言えばやるけど、座学の勉強になると途端に子供は退屈になってしまうんですよね。 それが映画を観ているだけで知らない間に「白血球かっこいい!」とか「赤血球はすごい頑張っているんだな」と教えてくれますし、入り口をいろいろな細胞に与えてくれているのが、すごくいいことだと親としても思いました。 身体の中は一緒だから、世界中どこでも通用するじゃないですか。日本にとどまらず楽しめるのも、すごく魅力かなと思います。 仲:本当にそうですよね。私も息子がいるのでわかります。映画版だと、オリジナルで阿部サダヲさんと芦田愛菜ちゃんが演じている人間の世界が描かれていますよね。家族のストーリーがあって、その中で体の中はこうなっている、とわかるのがいいなと思います。 体の中の映像だけだと、もしかしたら子供たちはただの戦隊もののように感じて、お勉強が少し薄れてしまうかもしれないけど、人間模様を入れると「あ、こういうことで人間はこうなるんだ」と理解が深まるので。すごく子供にも見せたいなぁと思います。 欠かせない習慣は「お酒」「アイス」 ――阿部さん演じる茂は不摂生な日々を送っており、細胞たちも苦労していました。本作を観て茂ほどとは言わなくとも、思わずどきっとした&やめようと思うような悪習慣はお二人にありましたか? 山本:俺は茂さんのようにタバコは吸わないけど、お酒は毎日飲むんです。だから「こういう雨が降ってんだな、体の中で…」と、(板垣)李光人くんと(加藤)諒くん(※ともに茂の体内の赤血球)が「酒だー!」と叫ぶシーンで思いました(笑)。 お酒について、映画ではなかなか刺激的な表現でしたけど(笑)、僕自身はお酒というのはすごくリラックス出来る時間なんですよね。飲み過ぎは望ましくないとしても、自分が「いいな、この時間」と思う程度なら、体には多少与えてもいいのかなと思う。だって筋トレも、オーバーワークは体に害になるからね。 ――壊してから再生、という感じですもんね。 山本:そう! 再生を促すためにいろいろな動きをさせて、それが運動という意味ではいいけど、本当に身体のことを思うとダメージなんか与えないで静かにしてるのがいいわけで。だからものは考えようだと思うんです。俺はこの作品を観る前と後、なんだかんだ何も変わらない(笑)。里依紗ちゃんは、ないでしょ! どう? 仲:いや、ありますよ! 私はやっぱり…。 山本:アイス? 仲:アイスです(笑)。砂糖を摂りすぎてるなとすごく思います。甘いものを本当に摂っちゃうんです。あまりお酒が得意じゃない代わりに、というか、ごはんを食べた後のデザートがないと絶対に無理で。 山本:でも朝はさすがに食べない? 仲:朝は食べなくなりました。前は食べていたんですけど(笑)。夜のアイス、チョコ、お菓子…絶対に食べたいんです。だから、デザートが美味しいごはん屋さんに行くのが好きです。…何の話をしてるんだろう(笑)。 ――(笑)。山本さんのおっしゃるように、ストレス解消の一種でもあるので変えずに食べ続ける方向で、と? 仲:そうですね(笑)。休みの日どこかに出かけたりすると、「今日はいいよね!」と言うものの、「いや…今日だけじゃなくて昨日も食べたな…」と思っています。日々の楽しみでストレス解消になっているから…ほかで頑張ります! という感じです。 山本:でもさ、全然問題ないよ! 変な話、「ちょっと大きくなった?」となると甘いものが原因かなと思うけど、どこで調整してるのって思うくらいだから! 仲:山本さんにおっしゃっていただけると、心強いです(笑)。
シネマカフェ text:赤山恭子/photo:You Ishii