金融庁がiDeCo拡充を要望。老後の資産となる「iDeCo」とは?NISAとの違いもおさらい
金融庁が、2025年度税制改正で「iDeCo(イデコ)」の拡充を要望していることが、8月下旬にわかりました。 ◆【一覧表でわかりやすい】iDeCoとNISAの違い4つ iDeCoは公的年金に上乗せができる「個人型確定拠出年金」となっていますが、掛金の引き上げがされれば、その分年金の上乗せ額の選択肢も広がることになります。 本記事では、金融庁が要望している「iDeCoの拡充案」について紹介していきます。 「iDeCoとは何か」「NISAとの違い」などについても解説しているので、あわせて参考にしてください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
そもそも「iDeCo」とは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後の資産形成を支援する「私的年金制度」の一つです。 現役時代に毎月一定額を積立・運用することで、公的年金に上乗せして、運用成果に応じた額を老後に受給できます。 さらにiDeCoの掛金は、全額「所得控除の対象」となっており、仮に毎月の掛金が1万円で、所得税・住民税がそれぞれ10%の場合、年間2万4000円の税金が軽減されます。 また、通常であれば金融商品の資産運用で利益が生じると、約20%の税金が課されますが、iDeCoを活用すれば非課税で再投資が可能です。 なお、iDeCoは受取時にも税制優遇があります。 年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」が適用され、どちらを選択しても税制面での優遇を受けられるのも特徴です。 このように、iDeCoは老後の資産形成と税金対策を同時に行える、メリットの多い制度といえるでしょう。 では、金融庁はどのような点において、2025年度税制改正でiDeCoの改正を求めているのでしょうか。 次章にて確認していきましょう。
金融庁は「iDeCoの掛金の上限引き上げ」を要望
2024年8月下旬、金融庁が2025年度税制改正にて「iDeCo」の拡充を要望していることがわかりました。 現行のiDeCoの制度では、加入区分に応じて、拠出できる掛金の上限が異なっています。 【iDeCoの拠出限度額】 ・第1号被保険者(自営業者等):月6万8000円 ・第2号被保険者(会社員・公務員等):月1万2000円~2万3000円 ・第3号被保険者(専業主婦(夫)):月2万3000円 最も高い拠出限度額は自営業やフリーランスなどの第1号被保険者で、年額81万6000円です。 一方、最も低いのは第2号被保険者の一部で、年額14万4000円にとどまっており、拠出額に大きな差が生じています。 金融庁は、老後の資産形成を促進する目的で「iDeCoの掛金の上限引き上げ」を要望しています。 この拡充が実現されれば、会社員や公務員がiDeCo制度のメリットをより享受しやすくなると期待されます。 ただし、上限の大幅な引き上げは、資産に余裕がある層の税金対策として利用される可能性があり、「金持ち優遇」との批判を招く恐れがあるため、この議論は慎重に進められるとうかがえます。 iDeCoの拡充案は、年末の税制改正大綱に向けて、政府・与党で議論される見通しです。