日本株は「徐々にレンジを切り上げる展開」を予想 ~先月の金融市場の振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
6.為替
<現状> ●円の対米ドルレートは、米長期金利が上昇したことなどを受けて大幅に下落しました。米雇用統計が想定外に強く、米長期金利が上昇したことや衆議院選挙で与党が過半数割れとなり、日銀の追加利上げが遅れるとの見方などから、前月末の143円台半ばから152円近辺に下落しました。 ●円の対ユーロレートは、165円半ばに下落しました。ユーロは、ECBの連続利下げを受けて対米ドルで下落した一方、対円では上昇しました。 ●円の対豪ドルレートは、下落しました。豪州中央銀行の利下げが先になるとの見方から、豪ドルは堅調な動きとなりました。 <見通し> ●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると予想します。FRBの利下げ継続と日銀の追加利上げによる日米金利差縮小が円の上昇要因となるとみています。ただし、日銀は連続的な利上げを急がず、円の上昇余地は限られそうです。 ●円の対ユーロレートは、ECBによる追加利下げと日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。 ●円の対豪ドルレートは、豪州の先行きの利下げや日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。
7.リート
<現状> ●グローバルリート市場(米ドルベース)は、米長期金利が大きく上昇したことが嫌気され、大幅安となりました。S&Pグローバルリート指数のリターンは前月末比▲4.6%となりました。一方、円ベースのリターンは、為替効果がプラスに寄与し、同+1.6%となりました。 ●米国は、長期金利が大幅に上昇したことから大きく調整しました。欧州やアジアは、長期金利の上昇や米国リートの下落を嫌気して軟調な展開となりました。日本は、銀行がリートの保有ポジションを縮小しているという需給要因もあり、下落しました。 <見通し> ●グローバルリート市場は、米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が見込まれ、借り入れコストが改善することや、米景気のソフトランディングにより世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調を辿ると予想します。 ●米国はFRBによる利下げ継続や景気のソフトランディングを背景に上昇基調を予想します。欧州はECBの追加利下げに伴う回復を予想します。アジア・オセアニアは景気の回復基調を背景に緩やかな上昇を予想します。日本もオフィス賃料の改善を背景に持ち直すと予想します。
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