東芝社長、原子力事業を方針転換「新規受注は考え直す」
東芝の綱川智社長は27日の記者会見で、分社化方針を決めた半導体メモリー事業とともに主要事業である原子力事業について、「エネルギー事業のなかで最注力領域としてきた位置付けを変える」と述べた。原子力発電所の新規受注に力を入れてきた方針も「新規の受注は考え直す」と転換する考えを示した。 【動画】東芝が半導体メモリー事業の分社化発表で記者会見
海外事業はあり方見直す
米国での原子力事業では、子会社である米原子炉メーカー、ウェスチングハウス(WH)による米原発建設会社のCB&Iストーン・アンド・ウェブスター社(S&W)の買収にからみ、数千億円規模の損失が生まれる可能性がある。 国内の原子力事業は再稼働やメンテナンス、廃炉を中心に社会的責任を果たすとする一方、「海外事業は今後のあり方を見直す」と表明。リスク管理強化のため、火力・水力発電事業などを含むエネルギーシステムソリューション部門から原子力事業を外し、社長直属の組織とする。綱川社長は「情報共有と意思決定の迅速化を図り、コスト管理の徹底と、ウェスティングハウスのガバナンス強化を図る」とした。 同社は、2016年3月発表の事業計画で、2030年度までに45基の原発新設を受注するとの目標を掲げていたが、「コンストラクション(建設)を含めて受注するのか、タービンなどの機器だけやるのか、その内容も含めて変える。基数も含めて中期計画で見直す」とした。 同計画では原発の新規受注を成長エンジンとして位置付けていた。綱川社長は「ウェスティングハウスでも新規の受注は考え直す」と方針を転換し、新設よりも燃料供給など各種サービス事業に力を入れる考えを示した。 (取材・文:具志堅浩二)