親の遺品を整理したら古い通帳が出てきました。預金額など個人情報が書いてあるので安全な処分方法を教えてください。
親が亡くなると、いろいろな手続きで慌ただしい日々を過ごすことが少なくありません。なかでも、相続手続きはボリュームが大きく大変です。しかも、親の相続をする・しないに関わらず法的な手続きが必要になってきます。そのため、遺産整理は避けて通れないのが現実と言えるでしょう。 ここでは、亡くなった親名義の古い通帳の処分方法や処分するタイミングなどについて説明します。 ▼祖父の部屋から「大量の小銭」を発見! 申告は必要? 勝手に使うのはNGなの?
その通帳はいつのもの?
質問者が見つけた通帳は繰り越し済みであると思われますが、いつのものかは明記されていません。何十年も前の通帳かもしれませんが、1つ前の通帳の可能性もあります。 相続手続で書類に記載するのは被相続人が亡くなったときの口座残高ですが、そこに至るまでの経緯を説明できる状態にしなければなりません。このようなとき通帳があれば取引履歴が一目瞭然なので、相続した預貯金の信ぴょう性を証明できるのです。 ちなみに、金融機関が保管する顧客の取引履歴は10年間と定められています。そのため、古い通帳が手元に残っていなくても、金融機関に依頼すれば取引明細の把握が可能です。ただ、故人の通帳の再発行は、難しいことや時間がかかることも多いです。このようなケースもあるので、手元に通帳を残しておくと余計な手間暇を掛けずに済むでしょう。
相続税調査の時効や税務署の権限
税務署が相続税の調査を行う時期は申告期限の1年後、夏や秋に多いと言われています。相続税の時効は5年、あるいは7年ですが、不審な点がある場合は10年分の取引履歴を調査される場合もあります。 また、税務署では、相続人の了承なしに口座情報調査できます。被相続人が築いた財産を把握するために、口座情報を活用するのは典型的な事例です。調査対象は相続人名義の口座残高や入出金履歴だけでなく、親族名義の口座残高に及ぶこともあります。
古い通帳を処分するときの注意点
税務調査時に活用するためにも、古い通帳の処分は慎重にする必要があります。繰り返しになりますが、被相続人だけでなく相続人や親族の口座も同様です。 古い通帳を処分するときは、金融機関名をはじめ個人情報がわからないように細かく裁断することがポイントです。シュレッダーを持っている人は活用するとよいでしょう。 また、預金額などの大事な箇所は油性ペンなどで塗りつぶすことも重要です。届出印が載っている通帳は印影悪用のリスクもあるので複数回に分けてゴミ出しするなどして悪用されないよう工夫しましょう。
通帳処分に際しては保存期間を確認! そのうえで適切な対応を
亡くなった親名義の古い通帳を処分するときは、タイミングを誤らないことが重要です。相続税に関する税務調査を受けるときに、通帳を残しておいたほうが有利な場合もあるからです。 税務署には職権があり、相続人の了承なしに口座情報調査できることも知っておきましょう。古い通帳を処分するときは細かく裁断して個人情報を残さないことが大切です。また、情報の復元を避けるためにも、一度にゴミ出ししないように心掛けましょう。 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部