カープのキャッチフレーズ、その傾向と今後を考える~オギリマサホのゆるっとカープ論~
思わず心を奪われる! カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、新たなカープの魅力を切り取る。 【写真】カープの中村トリオ(イラスト・オギリマサホ) 今回は、23日行われた、“カープファン感謝デー”で発表される『キャッチフレーズ』についてを、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。 ◆『しゃ』シリーズを最終章にすべく、来季は優勝を目指す! 11月23日、カープのファン感謝デーがマツダスタジアムで開催された。ここ数年、この日が近づくと、私は落ち着かない気分になる。来年の新キャッチフレーズがお披露目されるからだ。 各球団が設けているキャッチフレーズの歴史は古い。カープに関して言えば、石本秀一監督時代の『闘志なき者は去れ』(1953年から)や、ジョー・ルーツ監督の『100%の努力』(1975年)など、各時代に印象的な言葉が掲げられてきた。ただ、私が最もキャッチフレーズを意識し始めたのは、2005年のマーティ・ブラウン監督就任時に発表された『ALL-IN』であった。 それ以前にも英語のキャッチフレーズはあったものの、取ってつけたような感じが否めず、あまりピンとこなかったというのが本音である。しかし『ALL-IN』は、ブラウン監督が3A監督時代から用いていた言葉で、「皆が一体となって目標に向かう」という意思が短いフレーズに込められている。ブラウン監督時代の4シーズン用いられた『ALL-IN』は、今でも印象に残るキャッチフレーズだ。 その後、2012年から突如としてカープは“漢字当て字キャッチフレーズ時代”に突入する。2012年の『破天荒』はまだ普通であったが、2013年の『剣砥挑来』以降は『赤道直火』(2014年)、『常昇魂』(2015年)、『真赤激』(2016年)、『カ舞吼』(2017年)と、従来ある単語に独自の漢字を当ててつくられたキャッチフレーズがつくられた。カープファンの子どもたちはこの時期、漢字テストで間違えた字を書いていなかっただろうか。 それでも2016~2017年はリーグ連覇を果たし、「来季のキャッチフレーズもかっこいい漢字の言葉になるのかな」と期待していた2017年のファン感謝デー。會澤翼選手会長(当時)が掲げたボードを見て目が点になった。『℃℃℃(ドドドォー!!!)』。努力や泥臭さのド、3つ重ねることで3連覇を目指すという意味を聞いても、理解するのに時間がかかった。これが“謎キャッチフレーズ時代”の幕開けである。 『水金地火木ドッテンカープ』(2019年)、『たった今このAKAの子舞いたった』(2020年)と、年を追うごとにキャッチフレーズが混迷を深めていく。 以降、ファン感謝デーでキャッチフレーズが発表される際に緊張してしまう。そんな思いで迎えた今年のキャッチフレーズ発表、堂林翔太選手会長が掲げたボードには、鯉の形にデザインされた『遮二無二』の言葉が書かれていた。ある意味普通の言葉に、私はホッと胸をなでおろしたのであった。 『遮二無二』には、二位はない、一位に向けて邁進するという意味が込められているという。『がががが がむしゃら』(2023年)、『しゃ!』(2024年)に続き、新井貴浩政権下の『しゃ』シリーズということもできるだろう。発表時、末包昇大は『しゃシリーズ最終章として、終わらせられるように遮二無二に優勝目指して頑張ります』と語った。一位でシーズンを終えて、再来年から新しいキャッチフレーズ時代を築くことができるのか、来シーズンの戦いぶりに期待したいと思う。
オギリマサホ