クエスト感がスゴイ灯台ベスト5!秘境度、灯台のフォルム、海の風景のどれもがすばらしい
■ 【特牛灯台】一人静かに夕日を眺めるなら 特牛灯台(こっといとうだい、山口県下関市)は、“地味さ”が大きな魅力です。 目立つ岬にあるわけではないうえに、港のはずれから、つづら折りの山道をのぼっていかなければならないので、訪れる人はおそらくほとんどいません。 奥行きが500mぐらいある細長い特牛港(こっといこう)の防波堤近くに、特牛灯台へののぼり口があります。手すりが付いたりっぱな階段ですが、なにも案内はありません。 りっぱな階段はすぐ終わり、普通の山道になって、つづら折りでのぼっていきます。 道に迷うことはないのですが、路面が崖下側に傾いているところがあります。崖はかなり急峻で危ないので、落ち葉で(とくに雨上がりでぬれているとき)滑らないように慎重に歩いてください。 つづら折りの上り坂が終わり、尾根を少し進みます。木立を抜けて明るいところに出ると一気に視界が開け、特牛灯台の頭だけと海が見えました。期待が高まります。 木がない小さな広場から一段下がったところ一段下がったところで、ようやく特牛灯台に対面です。 特牛灯台が建設されたのは意外に古く、1912年(明治45年)です。このころになると、日本で西洋式灯台が造られ始めた明治初期のデザインから、次第に解き放たれていったのがわかります。 下部の灯塔はコンクリート造で、六角形なのがカッコイイ。上部の灯籠は鉄造ですが、当初のものから作り替えられたという情報もあります。 午後の日差しで輝く響灘(ひびきなだ)の海面を、一人静かに見つめる。貴重な時間です。 海に沈む夕日を見ながら、灯台が点灯するのをゆっくりと待つのもいいかもしれません。ただ、暗くなってから山道を戻るのは危ないので、気をつけてください。 もっと詳しくは きれいな形、無名、やま道アリの三拍子揃った特牛灯台
■ 【釣島鼻灯台】高難度の山道がもたらす達成感 最後の釣島鼻灯台(つりしまはなとうだい、兵庫県南あわじ市)は、ここまで紹介した4つの灯台よりも山道が険しくちょっと秘境度が高いです。その代わり、たどり着いたときの達成感と安堵感を存分に味わえます。 灯台への道は休暇村南淡路という宿泊施設の奥から始まります。従業員用駐車場と搬入口しかなさそうですが、とにかく歩いていくとそれっぽい場所が見つかります。 しばらくは普通の山道ですが、途中からくだり勾配がキツくなります。灯台まで高低差40mぐらいを一気にくだっていくからです。 だれかが(だいぶ前に)木につないでくれたロープがないとのぼりくだりが無理な場所もあります。次の写真はくだったあとに見上げたものです。帰りはここをのぼらなければなりません。 灯塔の上半分だけが見えました。 左右とも急峻な崖なので、崖下を見てしまうとビビるので、自分の足元から視線をそらさないようにしながら歩きます。右の柵は錆びきっているし、あまり高くないから、頼りにはなりません。 最後にこの階段が控えています。ただ、下へおりてしまうと、まわりの木にさえぎられて、海は見えなくなります。 階段をおりる前のほうが、海の風景を楽しめます。ここまでの山道で苦労した分、余計に達成感を感じられるでしょう。 崖の道を無事通過した安堵感とともに、ゆっくりと景色を味わってください。鳴門海峡を挟んで、遠くに徳島県が見えます。 もっと詳しくは 想定外の通行止めに想像以上の難路、難易度上級と言っていい釣島鼻灯台 どの灯台も行くにはちょっと苦労が伴いますが、それだけに到達して灯台の姿を見たとき、そして灯台越しに海を見たときに大きな達成感を味わえます。 日本には沿岸灯台(いわゆる普通の灯台)が約1000、防波堤灯台を含めると3000以上あります。「ほかの人に薦めたくなる灯台」をぜひ見つけてください。
ナギヒコ