斎藤前知事「自信みなぎる表情」のワケは“対抗馬の不調”か 「維新は新たな独自候補を無理やり出すのは厳しい」
9月27日金曜日午後6時前、斎藤元彦氏(46)は30日午前0時の自動失職に先駆けて兵庫県庁を去った。花束も職員の見送りもない、メディアのカメラとマイクに囲まれるばかりの退庁であった。 【写真をみる】マスコミに囲まれてはしゃいでる……? 県庁に詰めかけたカメラマンに嬉しそうな笑顔をみせる斎藤知事 ***
“勝機”を見いだした?
パワハラなどの疑惑をめぐり、県議会の不信任決議を受けて出直し選挙に挑む斎藤氏。冷ややかな周囲に反して、まるで“勝機”を見いだしたような自信をみなぎらせている。 むろん、これだけ不興を買いながらの再選は難しいであろうが、かつて斎藤氏を推した維新の関係者はこんなことを言う。 「維新としては斎藤氏との関係を断つためにも独自候補を立てなければならない。現在、元アナウンサーで参院議員の清水貴之さん(50)を軸に調整を進めていますが、彼は衆院鞍替えが決まっている。場合によっては同じく参院議員、兵庫維新の会代表の片山大介さん(57)という可能性もある。ただ、このところ維新は選挙で負け続けているので、無理やり出すのは厳しい」
「自民党が乗れば盤石なんでしょうが……」
また、共産党候補の他に、前尼崎市長の稲村和美氏(51)も29日に出馬の意向を固めたが、ここでもややこしいことが起こっている。 「“兵庫五国”と言われるように、この県には摂津、播磨、但馬、丹波、淡路の地域があって有権者の志向がそれぞれ違い、尼崎で人気の稲村さんも但馬、丹波での認知度は低い。自民党が乗れば盤石なんでしょうが、まだ独自候補を探っている上、立民も支持する構えで、互いに相乗りをけん制している」(関西の国会議員) そんな対抗馬の不調にいちるの望みを託すのか。30日の朝、JR須磨駅頭で斎藤氏はさっそく街頭活動を始めた。ただひたすらに「おはようございます」を繰り返すだけ。それでも時折、応援の声をかけられる。その様子は、斎藤氏のXからも見て取れる。 「今朝は、JR甲子園口駅前で、街頭活動をさせて頂きました。 昨日に続き、皆さまからのお声掛けが、私にとって、本当に力になります。」(10月1日) 「今朝は、JR垂水駅前で街頭活動を行いました。 本日も多くのお声をありがとうございました。 1人でも多くの方にご挨拶をさせていただきたく、続けていきたいと思います。」(10月2日) 「今朝は、JR芦屋駅前で街頭活動を行いました。 一緒に活動してくださる方の輪が少しずつ広がってきており、大変嬉しく思います。 ありがとうございます。」(10月3日) 駅前に一人ポツンと立つ写真に、前向きなコメントが添えられている。ポストへのコメントには好意的なものも多い。駅前でかけられる声に加えて、これらのコメントが現在の彼の支えとなっているのだろう。 知事選の投開票は11月17日。敵方の混乱に乗じて、奇跡を起こすことはできるだろうか。
撮影・福田正紀 「週刊新潮」2024年10月10日号 掲載
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