バイデン大統領、暗号資産に対するスタンス転換は本物か【Consensus 2024】
米CoinDesk主催の「Consensus 2024」の最大のニュースは、暗号資産(仮想通貨)をめぐる米民主党の方針大転換のようだ。 バイデン政権は、基本的に前政権と同じように暗号資産に対して「消極的過ぎて敵対的とも言える」アプローチを取っていたが、2022年に業界が底を打って以来、積極的に敵対するようになった。 暗号資産業界を取り締まろうとするバイデン大統領の「政府一丸」の試みを要約する最も簡単な方法は、VCのニック・カーター(Nic Carter)氏が、多くの暗号資産企業が銀行サービスを受けられなくする動きを表現して作ったキャッチフレーズ「Operation Choke Point 2.0」だ。 しかし、この数週間で状況は一変した。米証券取引委員会(SEC)の評判の悪い職員会計公報第121号(SAB 121:Staff Accounting Bulletin No. 121)を撤回させるための上下両院での超党派の投票に始まり、5月29日には、優れた暗号資産政策とはどのようなものかについて意見を聞こうとバイデン政権が暗号資産企業に働きかけていると報じられるなど、米国内の暗号資産業界にとって政治、規制、立法の面で明るい日々が待っていると(ほぼ)信じられるようになった。
暗号資産の非政治性
そのような空気が漂っているのは、おそらく誰もがそれを声高に叫んでいるように見えるからだろう。例えば、Consensus 2024のステージで、ニューヨーク証券取引所(NYSE)のリン・マーティン(Lynn Martin)社長は、暗号資産が「党派的」な問題で長くあり続けることはないと思うと述べた。 株式や債券がほとんど非政治的であるのと同じように、暗号資産を本質的に政治的なものと見なすことはあまり意味がない(実際、ビットコインのようなプロトコルの技術的な設計を考えると、暗号資産の方が非政治的であると主張するのにより良い根拠があるだろう)。 しかし、すべての人が同意見を持っているわけではない。例えば、注目のDeFiスタートアップで働くある大物弁護士は、仕事の機密性を考慮して匿名での取材を希望したが、バイデン大統領の心境の変化が本物とは思えないと語った。 「もし再選されれば、彼はまた元の路線に戻るだろう」と弁護士は述べた。規制状況が改善されているように見えるが、肩の荷が下りた感じがするのか、仕事は楽になっているのか、あるいは今後楽になるかと問うと、彼は「まったくない」と答えた。「今日も昨日と同じだ」と。 米国の政界事情に詳しいコロンビア大学のビジネス講師、オースティン・キャンベル(Austin Campbell)氏は、議会での変化も永続的なものではないと指摘し、弁護士の考えに共鳴した。 実際、画期的な「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法(FIT21)」の採決の結果を見ると、年代別でほぼ意見が分かれている。若い議員の方が「理解」する可能性が高いことを考えれば、このこと自体はプラスかもしれない。さらに、米国の政治を年長者が支配しているのは確かだが、恐竜が永遠に世界を支配し続けることはないだろう。