ものを選ぶときに口ずさむ「どれにしようかな」に続く言葉は? 高校生が調査、面白くないと思ったら…研究者も評価する驚きと感動の結果が
最初は乗り気でなかったけれど…結果に驚き
ものを選ぶときに口ずさむ「どれにしようかな」のフレーズ、これに続く言葉に地域ごとの違いがあるのでは―。そんなテーマに関心を持った長野県中野西高校(中野市)の文芸部4人が同校の生徒と中野市の小学生計約900人に尋ね、結果をまとめた。中野市と近隣の上高井郡小布施町、須坂市の中でも地域ごとに使われている言葉が大きく違うことが分かった。最初は乗り気ではなかった部員たちも、結果に驚き、どんどんのめり込むように。地域差以外にも関心を広げ、探究を深めた。 【地図】「どれにしようかな」に続く言葉、地域別の割合は?
100種類以上のフレーズが集まる
調査・研究は昨年10月から今年7月にかけて、中野西高校2、3年の文芸部員4人と顧問の中村大祐教諭(62)が行った。「どれにしようかな」の後に続く言葉をアンケートで質問。「神様の言うとおり」「あべべのべ」「赤とんぼ」「桃太郎」など、似た表記を1種類にまとめてもざっと百種類以上のフレーズが集まり、結果を分析した。
「あべべのべ」や「赤白黄色」…
高校生の回答を地域ごとに見ると、「あべべのべ」は、旧中野市(中野市・251人)の出身者は50%以上が使っていたが、2005年に中野市と合併した旧下水内郡豊田村出身者(10人)は0%、須坂市出身者(140人)は4%、上高井郡小布施町の出身者(48人)は2%だけ。地域で大きな差が出た。
一方、「赤白黄色」は逆の結果に。須坂市出身者は64%、小布施町出身者は63%と高い確率だが、旧中野市出身者は7%だけだった。「柿の種」も小布施町(27%)や須坂市の出身者(29%)に多い傾向がみられた。
「小さな範囲でこれだけ違うことに驚きと感動」
「自分には聞きなじみのない言葉が他の地域では一般的ということ、それも北信の中の小さな範囲でこれだけ違うことに、驚きとちょっとした感動があった」と部長で3年の酒井優太さん=中野市=。2年の小橋飛鳥さん=須坂市=は「伝わるうちに言葉が変わっていったのか、元となった言葉が違うのかと不思議に思った」と話す。
顧問の提案に最初は乗り気でなく…
調査は昨年10月、中村教諭が「文芸部の視点で地域と関わる活動をしてほしい」と提案。よく知られていて、バリエーションも多く、地域の差が出やすいと予想して、この歌を薦めた。当時1、2年生の部員は全員、俳句や小説などの創作を希望。「面白くなさそう」「調べても違いは出ないと思う」と乗り気ではなかった。だが、その頃に中村教諭が同校の生徒約80人に聞いたデータを見せると、「自分の知らない言葉がある」と部員が興味を持ち始めた。