【金崎夢生の今|後編】J3昇格を目ざすヴェルスパ大分の原動力に。「結果を出すことが自分に課せられた役割」
「残り10試合で2位以内に入りたい」
今夏に元日本代表の金崎夢生が加入したJFLのヴェルスパ大分は、J3昇格を目標に戦っている。 【画像】小野伸二や中村憲剛らレジェンドたちが選定した「J歴代ベスト11」を一挙公開! JFLからJ3昇格を果たすには、J3クラブライセンスを保有し、上位2位以内に入ることが必須条件。加えて、1試合平均の入場者数が2000人に到達していることも求められる。目下、首位の高知ユナイテッドSCは入場者数のところにハードルがあり、町ぐるみで必死の取り組みが行なわれている。 3位のV大分の場合、中津市や日田市の競技場もホームに入っているが、収容規模の多いレゾナックドーム大分でも試合が行なわれているため、入場者数は何とかクリアできそうだ。 ゆえに、2位以内に入ることに集中しなければならない。現在2位の栃木シティとは5ポイント差だが、相手は1試合少ない状況。10月20日のホームでの直接対決までに少しでも勝点差を詰めておくことが重要なのだ。 今季のV大分では、セレッソ大阪やアビスパ福岡などでプレーした福満隆貴、2013年U-17ワールドカップ参戦経験のある瓜生昂勢らが主軸。9月16日のブリオベッカ浦安戦でも、この2人がボランチを組み、丁寧なビルドアップからの組み立てを試みていた。 しかしながら、ここまで総得点27、総失点25で得失点差は+2という数字は、攻守両面で足りない部分があることを物語っている。浦安戦でも複数回のピンチがあり、守備の緩さが垣間見えた。 それを修正しつつ、得点力アップを図りたいと山橋貴史監督は考えている。新加入の大物選手、金崎には大きな期待を寄せているに違いない。 「彼はコンディション的にまだ100%じゃないので、少しずつ時間を伸ばしてほしいと伝えています。今回(浦安戦)のようにトップ下かトップでプレーしてもらうつもりですけど、前線で動くことで相手の守備も混乱すると思うし、そこにつられてくれば他の選手もフリーになる。彼がボールを受けることでリズムも変わるという効果があるなと見ています。 今回はボールを触る回数が少なかったものの、2回決定機があったし、ラストの時間帯で別の選手に惜しいチャンスが生まれた。チーム全体への影響力はやはり大きいと思います」と、指揮官は「昇格請負人」になってほしいと心から願っている様子だ。 敵将の都並敏史監督も「金崎みたいにサッカーをよく分かっている選手が出てくると、本当に嫌な動きをする。ポジショニングがうまいから、こちらも勢いを出せなくなる。半年間のブランクも全然感じさせなかった」と絶賛していた。その頭抜けたサッカーセンス、得点感覚を遺憾なく発揮してくれれば、本当に奇跡を起こせるかもしれない。 「浦安戦を見ていて、前半から相手にチャンスを作られていたのは僕自身、納得いかなかったですね。やっぱり相手をシャットアウトして、自分たちが点を取って勝てるようにならないと上にはいけないですから。 僕自身もできることなら先発で出て、ゲームを組み立てるところから関わって、チームを勝たせたい。監督とも密に話はしていますし、ベテランの隆貴とも常にコミュニケーションを取っています。周りを活かしながら、残り10試合で2位以内に入りたいんです。 僕は『今、ここで何となくやっていればいい』という感覚が一番好きじゃない。このチームを勝たせる、J3に上げるということに意味があると思っている。本気になれないんだったらやめた方がいい。そういう覚悟を持ってヴェルスパでやっているんです」と金崎は強調する。