25年ぶりに新人記録を更新された与田氏が語る、横浜DeNA山崎の凄さ
与田氏が言うストッパーの条件は、ストレートの速さ、コントロール、空振りの取れるボールを持つことに加えて、メンタルの強さの4つ。与田氏も、157キロのストレートと、140キロ台のフォークが武器だった。山崎も打者に向かっていく姿勢を常に持っていて小気味いい。オープン戦では、先発で結果を残せず「このままじゃローテーションには入れない」と中畑監督は、先発失格の烙印を押したが、チーム事情から仕方なく、後ろに転向させると能力を発揮した。中畑監督も「先発と抑えではボールが違う。なぜだ?」と、山崎に逆取材したほど。あと先を考えない全力投球と、緊張した場面で力が出る実戦タイプだったのだろう。 与田氏曰く、新人ストッパーには、新人ゆえの武器があるという。 「新人がストッパーをやることには難しさと逆に利点もあります。失敗すると先発の勝ちを消しチームの勝敗にかかわるのですから、その責任感は半端ではありません。先発から転向してくる投手がほとんどですから調整の変化も難しい。だが、逆に経験のない新人ゆえに怖いもの知らずで攻めることができる。メンタルでのプラスがあります。若さゆえに疲労に影響されにくい部分もあります。山崎は、新人のプラス面が際立っています」 与田氏は、8連続セーブ記録を作ったシーズンに、結局、「31」まで数字を延ばした。ただ、その翌年には、肩を痛め、わずか2セーブと低迷してしまっている。山崎が今後注意すべき点、課題は何だろうか。 「今後、注意するのは、体調管理でしょう。僕らの時代はイニング跨ぎが当たり前でしたが、今は1イニング限定ですよね。そこは配慮されていますが、チーム状態がいいと連投も増えます。疲れで調子を落とす時期も出てきます。山崎の調子の状態をベンチが細かく観察しておき、登板の配慮などもしてあげるべきでしょう。そこがうまくいけば、僕のシーズン記録(31)なんて抜くんじゃないですか? また来年、再来年はどうするのか? この先もストッパーとして山崎を起用していく考えなのか。球団として、山崎の将来を見据えて長期ビジョンも持っておいてもらいたいですね」 経験者ゆえの警鐘。横浜DeNAの救世主、山崎の勢いは止まりそうにない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)