“起承転結”のある見事な決勝戦。女子サッカーの充実ぶりを感じさせた第45回皇后杯
1月27日に行われた皇后杯全日本女子サッカー選手権大会決勝戦。三菱重工浦和レッドダイヤモンズレディース対INAC神戸レオネッサの試合は準決勝2試合に続いてまたも延長戦にもつれ込み、最後はPK戦で神戸の7大会ぶり7度目の優勝が決まった。
前半からゲームを支配し、早い時間に先制した浦和だったが、その後、神戸は堅い守備で追加点を許さず、後半に入ると選手交代を駆使して次第に攻撃機会を増やし、後半のアディショナルタイムにPKを獲得して1対1の同点に追いつき、延長戦は一進一退の攻防……。
ゲームの流れの変化、プレー強度の高さ、そして両チームの勝利への執念などが絡み合った文字通りの熱戦。しっかりとした“起承転結”のある、見ごたえのあるゲームだった。
浦和は、準決勝のサンフレッチェ広島レジーナ戦で、このところ得点源となっていた安藤梢とトップ下で攻撃を引っ張っている猶本光の2人が負傷。決勝戦は攻撃の中心2人を欠く中での戦いとなった。
だが、浦和はキックオフ直後から前線からの激しいプレッシングで神戸にボールを持たせず、ゲームを支配し続けた。
中盤では、ここ数年にわたって浦和の中盤を支え続けてきた柴田華絵とこのところ進境著しいボランチの角田楓佳との2人が互いにカバーしながら積極的に相手ボールにチャレンジ。テンポの良い攻撃につなげた。角田は、近い将来には日本代表入りも期待できる逸材だろう。
また、準決勝の広島戦で延長後半に貴重な同点ゴールを決めた清家貴子は、安藤、猶本の不在という中で中心となって攻撃を引っ張った。安藤、猶本を欠きながら、ゲームをコントロールしたあたりは、現在の浦和の強さを証明するゲームだった。
そして、19分中盤で高い位置で柴田が相手ボールにプレッシャーをかけて、トップ下の塩越が奪って、すぐに右の清家に開き、清家が入れたクロスが相手DFに当たってゴールイン。幸運なゴールではあったが、早い時間に先制ゴールが生まれ、浦和が優位に立った。