連立崩壊のドイツ首相、選挙時期で野党との協議に応じる考え示唆
(ブルームバーグ): ドイツのショルツ首相は8日、早期総選挙の実施時期について話し合う用意があることを示唆した。ショルツ氏はこれまで、出身政党である社会民主党(SPD)の党勢回復のため3月の選挙実施を目指す意向を明らかにしていた。
6日に緑の党と自由民主党(FDP)との連立を解消し、少数内閣に陥ったショルツ氏に対しては、1月中の総選挙を求める圧力が高まっていた。最新の世論調査によると、有権者の3分の2が早期の選挙実施を望んでおり、経済団体は政治的混乱の終結を求めている。
ショルツ氏は欧州連合(EU)の非公式首脳会議のため訪問したブダペストで記者会見し、「今年成立を目指す法案について民主的政党で合意できれば」、選挙時期を巡る野党との協議に応じる考えを示した。
世論調査は公共放送ARDによるもので、野党・キリスト教民主同盟・社会同盟 (CDU・CSU)のメルツ党首には追い風だ。メルツ氏は、ショルツ首相が政治的利益のために3月まで選挙を遅らせようとしていると非難してきた。中道右派のCDU・CSUは世論調査で支持率首位に立つ。
メルツ氏は8日、ドイツ公共ラジオのドイチュラントラジオとのインタビューで、CDU・CSU側は、今後与党との議会協力について話し合う用意があるが、それはあくまでもショルツ氏が総選挙の前倒しに向け早期に信任投票を行うことが条件だと語った。
メルツ氏は「ドイツの有権者は安定した議会、そして何よりも安定した政府を求める権利がある」と強調した。
財政保守派の象徴と広くみなされているリントナー氏の解任を受け、ドイツ国債は売られ、10年債利回りは7月以来の高水準となる2.50%に上昇した。
ドイツ10年債利回りは同等のスワップ金利を初めて上回り、債券供給に対する市場の不安の強さが浮き彫りになった。欧州中央銀行(ECB)が保有債券を減らしている上、ドイツ経済が停滞する中で、国債供給の純増によって長年続いてきた傾向に拍車がかかっている。