元DAY6のeaJが語るK-POP界から世界的スターへの転身、初来日への想い
DAY6を経て、eaJを名乗るようになるまで
―先ほど「そもそもプロの歌手になるつもりはなかった」とおっしゃっていましたが、大学進学も理由のひとつだったのかもしれませんね。大学では政治科学(Political Science)を学んでいたそうですが、なぜこの学問を選んだのですか? また、プロのミュージシャンになろうと考えたのはいつ頃からだったのでしょうか。 eaJ:僕は人前で話したりスピーチしたりするのが子供の頃から好きなんだ。すぐ不安になったりするのに……。不思議だけどね。子供の頃から国連が好きで、ハイスクール時代は模擬ディベートや模擬国連みたいな活動をよくしていたんだ。将来はロビイストみたいなものになりたいと本気で思っていた。当時はそれが夢だったね。 ―大統領を目指すわけではなく? eaJ:そう、僕は現実的だからね(笑)。 ―そうすると、学生の頃はロビイストになりたいと思っていながら、音楽をやりたい気持ちも少しはあったのでしょうか。 eaJ:歌をやるというのは非現実的すぎると思っていたんだよね。昔から両親に言われていたんだ。「歌をやっている人で実際に儲かっている人なんていない。お金にするのは不可能だ。可能だとしても10億人に1人くらいの確率」って。僕も「確かにそうだよな」と思っていたよ。 でもコンサートを観に行って誰かがステージに立っているのを見るたびに、自分が間違った側にいるような気がしていたんだ。「僕は客席側にいるべきじゃない」ってね。そしてある時、「あっち側に行きたい」と本気で思うようになったんだ。 ―人前で話すのが好きということもあって、心のどこかでステージの上でパフォーマンスをやりたいと思っていたのでしょうね。 eaJ:そうだね。おそらく心の中に音楽をやりたい気持ちがあったんだと思う。でも無理だって思っていたから、次にベストな道に進もうとしたんだ。 ―そして次にベストな道を見つけたところで『Kポップスター』に見出されたのですね。 eaJ:そうなんだよ! ―同番組では敏腕プロデューサーのJ.Y.Parkさんに評価され、以降はJYPで3年以上、練習生として生活しました。そしてDAY6に加入、現在はソロアーティストとして活動されています。こうした変化にともなってご自身の音楽の好みも変わっていったのでしょうか? eaJ:JYPの練習生になってすぐに「君はバンドに入ることになる」と聞かされていたから、当初はバンドミュージックに執着して、すごくのめり込んでいたんだ。前述の通り、ジョン・メイヤーやジェイソン・ムラーズが好きだったし、自分がやるのも理にかなっていると思った。でも通常のポップスやR&Bも大好きだったから、バンドミュージックはいつも僕の中心にあったけど、他のタイプの音楽も好き、といったところかな。 ―オーディションを受けたときは本名のパク・ジェヒョンで、その後Jaeという名前でバンド活動をして、現在はJaeをひっくり返してeaJにしています。その理由を教えてください。ネットで調べると「名前を逆さまにすることで初心を取り戻すため」という理由も見られますが……。 eaJ:2019年だったかな、何かを参考にして曲を書き続けていた時間があまりにも長くなって、自分が本当に好きな音楽は何なのか忘れてしまったんじゃないかと思うようになったんだ。その時作っていた音楽が好きじゃなかった、という意味じゃないよ。とあるバーで知らない人が「どんな音楽が好き?」と聞いてきたのがきっかけだった。「バンドミュージックが好きだよ」と答えたら、「君が作っている音楽の話をしているのではない。君が好きな音楽のことだよ」と言われたんだ。……答えられなかった。 その時こう思ったんだ。「自分は何が好きなのかを見極めるために、ひたすら何か作ってみるのはどうだろう」と。僕はギターも弾けるからそれができるしね。そこから始まったんだ。契約上、僕は自分で曲をリリースすることができなかった。当時はDAY6のメンバーだったからね。それでミドルスクール(日本の中学校のようなもの)時代の名前=イアージュ(eaJ)をプロジェクト名にして創作活動を始めたんだ。 ―最初はイアージュだったのですね。イージュではなくて。 eaJ:うん。ただ、イアージュは何だかトゥーマッチな気がしてね。「だったらイージュでいいや。呼びやすいし」と思って。それでいくことにしたんだ。その後、友だちに名前の意味を聞かれたんだけど、「何の見当もつかない」と答えた。そうしたら「分かった。君は名前をひっくり返すことによって、ルーツに戻ろうとしているんだ」と言われてね。「それはとても賢い理由付けだ。じゃあそういうことにするよ」と言ったんだ(笑)。 ―ということは、意味は後付けだったんですね。 eaJ:そうなんだよ(笑)。 ―面白い話です。結果的に実際にあなたがやっていたことを言い表していたというわけですね。 eaJ:そう、ここまでたどり着くのに長い道のりだったよ(笑)。