BMSG、LDH、トライストーンも 令和に復活傾向、日本芸能史に欠かせない“運動会”
運動会に彩られた日本芸能史
もともと日本の芸能界は運動会と親和性が高い。運動会が大好きだと言える。1967年にスタートした日本初のスペシャル枠『テレビグランドスペシャル』(フジテレビ系)の第1回を飾ったのは、「オールスター紅白大運動会」だった。アイドル、歌手、俳優、芸人が総登場する芸能人運動会は人気番組となり、1980年代半ばまで20回以上も放送された。聖火リレーなど、1964年に開催された東京五輪を意識した演出も行われた。 TBS系ではレコード会社別に対抗戦を行う『新春オールスター大運動会』が毎年恒例の人気番組となった。しかし、徐々に芸能人運動会は下火になっていく。日本テレビ系でも1984年に『全日本オールスター選抜大運動会』が放送されたが、こちらは短命に終わった。1980年代半ばを過ぎ、時代がバブル期に近づいていくと、運動会は「オシャレじゃない」と思われるようになったからだ。団塊ジュニア世代がティーンエイジャーになって運動会に興味をなくしたこと、旧来の芸能事務所の力が衰えていったことも関係あるだろう。 昭和の時代、運動会は学校だけでなく、町内や会社でも盛んに行われていたが、やはり80年代半ばを過ぎてからは減少の一途を辿っていく。個人主義が進み、集団での行事を敬遠するようになったことが大きな原因だ。運動会が下火になる中、芸能事務所主体で運動会を復興させたのが、少年野球チームを発祥とする旧ジャニーズ事務所だった。
運動会の効用と再ブーム
運動会は明治時代に「国威発揚」「健康増進」を目的として広く普及した。短距離走や障害物競走などのプログラムを多人数で行っていく運動会は、スポーツ競技中心の西欧とは異なる日本独自の行事とされている(韓国や台湾で運動会が見られるのは日本統治の名残)。運動会は、集団性や協調性を重視する日本人の国民性に合っているとも言われている。 前述のとおり、日本の運動会は学校行事として行われるものを除くと、バブル期を境に衰退していく。ところが2010年代から、さまざまな企業が社内運動会を復活させる再ブームが巻き起こった。運動会の競技を通して普段関わりのない社内のメンバーや上司とコミュニケーションをとったり、一致団結してチームワークを高めたりする、社内の一体感、結束力を増す効用が認められたからだ。コロナ禍によって中断したものの、現在は再び社内運動会を行う企業が増えてきているという。