<変わるセンバツ>/3 エース登板、球数左右
投手の健康管理策として、一人の投手が1週間に投げられる球数を500球以内とする投球数制限が導入されて1年。甲子園大会では実質、春夏を通じて今大会が初の適用となる。毎日新聞がセンバツ出場32校の監督に実施したアンケートによると、上位進出を見据えて「エースの登板回避を考えている」と回答したのは16校と半数に及んだ。具体的な試合に準々決勝を挙げたのは6校と最も多く、準決勝も4校あった(複数回答可、無回答は除く)。 1回戦が大会6日目の中京大中京(愛知)は、1回戦から準決勝までの4試合、2回戦から決勝までの4試合がいずれも6日間と最も過密だ。高橋源一郎監督は「試合時の状態と練習試合の内容を見て、任せられる信頼感があれば」を条件に、エース右腕の畔柳亨丞(2年)以外の投手で試合に臨むことを考えるという。 福岡大大濠も2回戦から決勝までの4試合が7日間となり、エースだけでは500球に到達する可能性がある。八木啓伸監督はエース回避のタイミングとして2回戦と準々決勝を選んだ。「トーナメント全体を考えるとこの二つ。ただ、あくまで理想。起用は総合的に判断したい」と説明する。判断基準となるのは、球数や精神的疲労、2番手以降の投手と対戦相手との力量に加え、打線の調子をポイントに挙げる。1回戦で打線が好調なら「ある程度の失点を覚悟で、別の投手を投げさせることもある」。前回出場の2017年春、2回戦の延長十五回引き分けと再試合の2試合をエースが一人で投げ、休ませた準々決勝で敗戦。その経験から今大会はエース以外に先発やショートリリーフができる投手をそろえた。 一方で「経験者」はどう考えるのか。昨秋の北海道大会を制した北海の平川敦監督は、当初予定の「1週間で5試合」を戦う上で、左腕・木村大成(同)が決勝で140球ほど投げられるよう逆算。1回戦は登板させず、2回戦も救援起用にとどめ、準々決勝から先発。準決勝と決勝を完封した。エースの起用法が成功した平川監督は「甲子園では、逆に上位に進めば『ここまで勝ったのだから』と投げていない投手を思い切って使える」とも予測する。【安田光高】