【老齢年金】「繰上げ・繰下げ」を選択する人の割合は？受給開始年齢ごとの損益分岐点シミュレーション
年金の繰上げ・繰下げ受給を選択する割合は？
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、「繰上げ受給」または「繰下げ受給」を選択した人は以下の通りとなっています。 ●厚生年金 厚生年金受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況の推移 ・2018年:繰上げ受給率0.3％・繰下げ受給率0.7％ ・2019年:繰上げ受給率0.4％・繰下げ受給率0.8％ ・2020年:繰上げ受給率0.5％・繰下げ受給率1.0％ ・2021年:繰上げ受給率0.6％・繰下げ受給率1.2％ ・2022年:繰上げ受給率0.7％・繰下げ受給率1.3％ ●国民年金 厚生年金受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況の推移 ・2018年:繰上げ受給率12.9％・繰下げ受給率1.3％ ・2019年:繰上げ受給率12.3％・繰下げ受給率1.5％ ・2020年:繰上げ受給率11.7％・繰下げ受給率1.6％ ・2021年:繰上げ受給率11.2％・繰下げ受給率1.8％ ・2022年:繰上げ受給率10.8％・繰下げ受給率2.0％ 上記から、老齢年金はほとんどの方は65歳から受給をスタートさせているようです。 ただし繰下げ受給の推移を見ていると、わずかながら上昇傾向にあり、厚生年金・国民年金ともに繰下げ受給を選択する人は増えてきています。 繰上げ受給、繰下げ受給ともに、寿命によっては損をしてしまうケースもあります。 では、どの時点で「得」に転じるのでしょうか。 次章では、「繰上げ・65歳・繰下げ」で損益分岐点をシミュレーションしてみましょう。
年金の「繰上げ受給・繰下げ受給」損益分岐点をシミュレーション
では、「繰上げ・65歳・繰下げ」ではどれを選択するのがお得といえるでしょうか。 本章にて、厚生年金を「繰上げ・65歳・繰下げ」で受給した場合の、損益分岐点を5年単位で見ていきます。 なお、厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額は14万3973円です。 このため、本シミュレーションでは年金を「月額14万円」と仮定して試算しています。 70～100歳までの間に「繰上げ・65歳・繰下げ」で受け取れる、トータルの年金額は下記の結果となりました。 ●60歳から年金を受給する場合（繰上げ受給） ・70歳時点で受け取れるトータルの年金額:約1277万円 ・75歳時点で受け取れるトータルの年金額:約1915万円 ・80歳時点で受け取れるトータルの年金額:約2554万円 ・85歳時点で受け取れるトータルの年金額:約3192万円 ・90歳時点で受け取れるトータルの年金額:約3830万円 ・95歳時点で受け取れるトータルの年金額:約4469万円 ・100歳時点で受け取れるトータルの年金額:約5107万円 ●65歳から年金を受給する場合（65歳から受給） ・70歳時点で受け取れるトータルの年金額:約840万円 ・75歳時点で受け取れるトータルの年金額:約1680万円 ・80歳時点で受け取れるトータルの年金額:約2520万円 ・85歳時点で受け取れるトータルの年金額:約3360万円 ・90歳時点で受け取れるトータルの年金額:約4200万円 ・95歳時点で受け取れるトータルの年金額:約5040万円 ・100歳時点で受け取れるトータルの年金額:約5880万円 ●70歳から年金を受給する場合（繰下げ受給） ・70歳時点で受け取れるトータルの年金額:0円 ・75歳時点で受け取れるトータルの年金額:約1192万円 ・80歳時点で受け取れるトータルの年金額:約2385万円 ・85歳時点で受け取れるトータルの年金額:約3578万円 ・90歳時点で受け取れるトータルの年金額:約4771万円 ・95歳時点で受け取れるトータルの年金額:約5964万円 ・100歳時点で受け取れるトータルの年金額:約7156万円 厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によれば、男性の平均寿命は「81.05年」で、女性の平均寿命は「87.09年」となっています。 もちろん、寿命には個人差がありますが、受給開始年齢を決める際の参考として目安にしてみてください。 なお、本シミュレーションでは年金月額を14万円としましたが、年金額にも個人差があります。 ご自身の年金見込額を「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認してから、繰上げ受給や繰下げ受給について検討することをおすすめします。
