記念すべき第1話に登場!「撮影終了後にオレのコレクションに追加したい」石原裕次郎も気に入った特別仕様のソフトトップガゼール|西部警察 西部機動軍団PART-1|ガゼール
西部警察をこれほどの人気ドラマにしたのは、登場するクルマたちの輝きが大きな要因のひとつであることは間違いない。マシンXにスーパーZ、マシンRS軍団。見た目も派手で最新テクノロジー満載のこれらの特殊機動車両は視聴者の目をクギ付けにした。しかし、これらのスーパーマシンたちは放送開始直後から登場していたわけではなく、物語が進むにつれて大門軍団に加わっていった。その一方、パートⅠ第1話から最終回となるパートⅢ第69話までの全235話に渡って登場した車両がある。それがガゼールだ。 【画像25枚】たたずむだけで特別な存在感 華やかで優雅な木暮課長専用車 ガゼールは石原裕次郎演じる木暮課長の専用車である。いわゆる特殊機動車両ではないためハイテク装備はほぼ無いが、スタイルそのものがスペシャルだ。ひと目見て分かるように、このガゼールは通常にはないオープン仕様なのである。ベース車両はハードトップの2000XE‐Ⅱで、オープン化を手がけたのはガレージタルガだとされている。ルーフはピラーの付け根から切り落とされ、特注の脱着式ソフトトップが取り付けられるようになっていた。だが、劇中でソフトトップを装着しているシーンはほぼない。 大門にひと言アドバイスを残して去っていくのが新任課長の木暮謙三 記念すべき第1話。銀行ろう城犯に手を焼く大門軍団の元に颯爽と現れ、大門にひと言アドバイスを残して去っていくのが新任課長の木暮謙三。その時に乗っていたのが、このガゼールだった。放送開始からわずか5分でテレビ画面に映し出されたガゼールは、それだけで特別な存在感を放っていた。 木暮は警視という階級、課長という役職から捜査の第一線には出ない。そのため、ガゼールの登場回数と登場時間は短かったが、視聴者に鮮明な印象を残した。そんなガゼールが主役になる貴重な回がパートⅠ第75話「平尾一兵、危機一髪」だ。 ガゼールが主役になった回も 銀行強盗をして喫茶店に立てこもった2人組の犯人は、逃走用の車両にガゼールを要求。逃げる犯人は工事中のトンネルを突破するが、追跡していたパトカーはルーフが引っかかり激突してしまう。この時、寺尾聡演じる松田猛が「課長のガゼールは一般車より20㎝も車高が低い」と言っており、ここに目を付けた犯人に一杯食わされたというわけだ。ちなみに、石原裕次郎はこのガゼールを心底気に入っていて、「撮影終了後にオレのコレクションに追加したい。だから絶対にカーアクションはさせない」と言っていたそう。なので、この回は本当に貴重なシーンが満載なのだ。ラストシーンでは戻ってきたガゼールを洗車するのだが、それは演技ではなく本気だったのかもしれない。 また、木暮課長専用車ということもあり、ガゼールに乗った登場人物は少ない。くだんの2人組犯人のほかには、大門団長、大門の妹・明子(初代の古手川祐子、2代目の登亜樹子)、そして中島ゆたか演じる小池礼子くらいだ。それがパートⅢ第25話「長いお別れ」で、珍しく木暮課長が前線に出て、覚せい剤を隠匿する犯人の愛人・小池礼子に接近。作戦は成功して礼子から覚せい剤密売の共犯を持ちかけられ、礼子と覚せい剤を乗せた木暮は、ガゼールで警察へと向かうのだった。 大門軍団最大の理解者である木暮とガゼールは、まさに白馬に乗った王子のようにカッコ良く、気品に満ちていた。だからこそ、登場回数こそ少なかったが、輝くばかりの存在感をテレビ画面いっぱいに放っていたのだ。 初出:ハチマルヒーロー vol.48 2018年 7月号 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部