富士ソフトTOB、KKRが価格を9451円に引き上げ ベイン案上回る
Miho Uranaka [東京 15日 ロイター] - 富士ソフトは15日、非公開化に向けて米投資ファンドのKKRが進める2段階の公開買い付け(TOB)で、KKRが第2回TOB価格を8800円から9451円に引き上げたと発表した。対抗する米ベインキャピタルの提示価格を上回っていることから、富士ソフトはKKR案への賛同意見を表明し、株主に応募を推奨した。一方、ベインキャピタル案に対しては反対の意見を表明した。KKRは来週半ばをめどに第2回TOBを開始する方針。 富士ソフトにはKKRとベインがTOBを提案している。KKRはすでに終了した第1回TOBで約34%の株式を取得済みで、2回目についても8800円で取得する意向を示していた。これに対してベインは9450円でのTOBを提案し、富士ソフトからの賛同表明を得た後、11月中旬から下旬にかけてTOBを開始する方針を示し、富士ソフト側がベインとKKRの第2回TOBに対してどういった判断を示すかが焦点となっていた。 富士ソフトはベインのTOB案について、すでにKKRが部分的に同社株式を保有していることからKKRとベインが大株主として存在することになりデッドロックのリスクがあると指摘。部分買い付けによる強圧性の問題に対する手当ても十分ではないとした上で、価格においてもベイン案を上回るKKR案を支持するとコメントした。 富士ソフトは、経営推進上の課題である株主構成を整備することが最重要であるとして、非公開化を選択した経緯がある。同社は、これまで多大な労力を費やしておりさらに混乱が拡大していく可能性も懸念されるとし、KKRの価格が引き上げられたことで速やかにこの状態を解消して経営に集中することが重要との考えを示した。 KKRも同日、「1日も早く富士ソフトの企業価値向上にまい進できるよう、早期の非公開化完了を目指す」とのコメントを発表した。