もはや「ただのおもちゃ」ではない…闇バイトの実行犯が「ポケモンカード強盗」に駆り出される本当の理由
ポケモンカードなどのトレーディングカードが強盗の標的になるケースがある。フリーライターの奥窪優木さんは「転売目的での買い占めだけでなく、最近では闇バイト強盗の標的になった。ポケモンカードは玩具の枠を超えて、貨幣に近い存在になってしまった」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、奥窪優木『転売ヤー 闇の経済学』(新潮新書)の一部を再編集したものです。 ■金属探知機で仕分けし、0.001グラム単位で重さを記録 合計1200パック(6000枚)を2人がかりで仕分けし終えたのは、作業開始から1時間半後のことだった。若干のばらつきはあるが、金属探知機が反応したパックと、しなかったパックが1ボックスにつき、およそ半々という配分になった。若い男は反応しなかった方のパックの山を乱雑に元の箱の中にまとめると、次の作業に入る。 取り出したのはデジタルスケールだった。彼らは金属探知機が反応したパックを一袋ずつ乗せ、0.001グラム単位までその重さを記録していくのだ。 「金属探知機によるサーチは簡単ですが、わかることは“そのパックの中にレアカードが入っているか否か”だけ。これからの作業は、レアカードが入っていることがわかったパックを、さらにSR(スーパーレア)以上のカードが封入されているかどうか、可能性の高さごとにグループに分けていく」(転売集団のリーダー格・オガサワラ氏) ■未開封のままレアカード入りのパックを見分ける方法 オガサワラ氏によれば、R(レア)以上のランクのレアカードにはアルミコーティングが施されているぶん、非レアカードと比べて重くなる。さらに、ランクごとに重さも違うそうだ。逆に言えば、シリーズ内で同じランクのレアカードの重さは大体一緒。それぞれの実際の重量を彼らは把握しているのだという。 「つまり、パックの重さを測ることで、中のカードの組み合わせをおおむね推測することができるんです。仮にパックの中にレアカードが1枚だけ入っている場合は、その重さでどのランクのカードが入っているかはかなりの確率で判別できる。我々が狙うのは、転売市場で取引対象になるSR以上のランクのカードのみ。この方法でSR以上が入っていると見込まれるパックが、Aグループ。もちろん、レアカードが2枚入っていて、そのうち1枚がSR以上ということもありえるので、一筋縄には行かないけど、SR以上のカードが含まれるパックに他にもレアカードが入っていることは稀。だから重すぎるパックは、SR未満が複数枚入っている可能性が高いので、Cグループ。このどちらでもないのがBグループ」(オガサワラ氏)