「そりゃいつかはダウンする」――ネリに“人生初ダウン”を喫したのになぜ? 井上尚弥が40戦無敗の傑物をPFPで超えた理由を考察
「被弾をするなんて当たり前なんだよ」
米ポッドキャスト番組『THE 3 KNOCKDOWN RULE』のホストを務めているマリオ・ロペス氏は、同番組において「ネリはクレバーで、巧妙な選手なんだ。ああいうことはありえた」と決戦を振り返りつつ、こう論じている。 「イノウエが見せた最も重要なポイントは、ダウンしてから完璧に立て直し、見事に逆境に打ち勝ったということだ。そりゃトップレベルで戦っていれば、いつかは致命的なパンチをもらってダウンを取られてしまうことはある。でも、それは大きな問題じゃないんだ。偉大な選手はそこから立ち直って、勝負を自分のモノにする。イノウエもそうだった。 いつも通りに、計算高く、順序立ててネリを追い詰め、凄まじいKOさ。ダウンを取られてからの対応力はこれまでの試合と同様に印象的なパフォーマンスだった。あのマイク・タイソンも前半にKOできないだけで、『あれ?苦戦してる?』なんて言われた。そんなの馬鹿げてる。これは本当に闘いなんだ。被弾をするなんて当たり前なんだよ」 軽量級であろうと猛者がひしめくボクシング界。そのなかでは、さしものモンスターもいつかはダウンを喫する。むしろそれまでの45ラウンドで一度もダウンしてこなかった成績は奇跡ではないか。 さらにクロフォードは過去4年で4試合しかこなしておらず、対する井上は同年数で8試合を戦っている。このハイペースな消化量も、モンスターを「世界最高」にたらしめる一因と言えそうだ。 たしかに40戦無敗(31KO)を誇るクロフォードの成績はあっぱれだが、常に“今”を評価されるPFPで推し量るとすれば、やはり井上が「上」という結果は当然だろう。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]