空き家の税金を払いたくありません。相続放棄をすれば払わなくて済みますか?
地方にいる両親が他界し、実家が空き家になるという問題が増えているようです。実家を相続しても住む予定がなく、売却をしようとしても買い手がつかず、困り果ててしまった、ということもあるかもしれません。 今回は「実家の相続が発生したときに相続放棄をすれば、空き家に対する税金の支払いは必要ないのか」という質問に答えていきます。
2023年3月までは責任関係が複雑
2023年3月末までは、実家に住んでいた親が他界して空き家の相続が発生した場合、相続人全員が相続放棄をした場合でも、最後に放棄した相続人は管理義務を負うことになり、空き家の管理を「自己の財産におけるのと同一の注意をもって」行わなくてはいけませんでした。 誰も管理しなくなると、老朽化が進んだことによる倒壊の危険や、動物が住み着くなど近隣住民への迷惑になることが考えられるため、それに対する措置でした。 管理義務を免れるためには、別の相続人にお願いをして引き受けてもらう、もしくは新しい所有者を見つける必要があります。しかし、新しい所有者をすぐに見つけることは難しい場合もあります。
また、相続放棄を行うケースとして、亡くなった被相続人に空き家などの財産のほかに借金がある場合などが考えられます。 空き家を相続放棄した場合は、その借金も相続しなくてもよいことになります(なお、自身が相続放棄をして他の相続人が空き家を相続したとしても、他の人による管理が開始されるまでは、図表1のように自身が管理義務を負います)。 その相続人が空き家の管理を開始すると、現金化して借金の返済に充てることが可能となります。しかし他の相続人全てが相続放棄をすると、管理義務を負った相続人は自由に売却できず、裁判所に行って権限外行為の許可を得る必要があります。 債権者など利害関係者がいる場合は、利害関係者が裁判所に相続財産管理人の選任を要請することにより、相続財産管理人が空き家や土地などの売却を行い、債権者に返済する義務が生じます。 このように2023年3月末までは、1人でも相続人がいれば、たとえ遠方に住んでいて相続放棄もしている場合でも、相続財産の管理を行う必要がありました。 しかし、遠方で自らの家庭もある人にとっては、管理を行うのも一苦労でした。