就任会見に臨む中日・井上一樹監督＝中日ホール＆カンファレンス（撮影・根本成）

今季中日の2軍監督を務めた井上一樹氏（53）が10日、名古屋市内で大島宇一郎オーナー（60）、吉川克也球団社長（68）から、来季からの監督就任の正式要請を受け、受諾した。就任記者会見に臨んだ井上新監督は「個々の能力が仮に他のチームに劣っているなら束になって底上げしようと。『心技体』を見つめなおすところから始めたい」と抱負を語った。 【写真】最終戦セレモニーであいさつする立浪監督。ファンに謝罪した 「選手の支配下70名、育成選手を合わせると80、90名の大所帯。面談せずとも大体この選手はこの性格だ、とわかる。ボールを投げたらすぐ返ってくる選手も、『どれだけ吸収するねん…』という反発力のない、投げた球が返ってこない選手がいる。そういった選手にもあきらめず何回でも球を投げますよ。2軍の選手には『俺が好きな選手になれ』と言っている。『お願いします、もっとやりたいんです。俺はもっと上を目指したいんです』という気持ちがある選手が好きだよ、と常々言っている。1軍というところは成績が伴わないと、という土俵。2軍でできなかったことを1軍でできるはずがない。僕も2軍で自分の種を蒔いてきたつもり。そういった選手が育ってくれればもっと活気づくのかなと思っている」 まずは選手の気持ちや態度を重視し、やる気を前面に出す選手の台頭を求めた。 井上新監督は鹿児島・鹿児島商高から1990年にドラフト2位で中日に投手として入団し、93年途中から打者に転向し、2009年まで左打ちの外野手として中日に在籍し、1999年、2004年、06年の3度のリーグ優勝に貢献した。引退後の10年から13年まで1軍打撃コーチや2軍監督を務めた。その後、評論家を経て20年から阪神の打撃コーチ、21年から2シーズンはヘッドコーチを務めた。今季、2軍監督として11年ぶりに中日に復帰した。今季チームは攻撃面でリーグワーストの373得点と得点力不足に悩み、3年連続の最下位に沈んだ。チーム力の底上げへ期待をかけられるなかで「成績が伴わないと。強いチームはまず数字を挙げなければいけない」と立浪和義監督（55）から継続してのチーム強化を掲げた。 「ミスタードラゴンズ」と称される立浪和義氏が監督を務めた今季は、若手を中心に新陳代謝が進むチームへの期待の高さからシーズン終盤まで本拠地バンテリンドームに満員の観客が詰めかけた。